中国・華為技術、4つの躍進の秘密 中国本社ルポ
編集委員 関口和一

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2012/10/4 7:00
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尖閣諸島問題で日中関係がぎくしゃくする中、日本の家電見本市「シーテックジャパン」に中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が初出展した。同社は今年上半期の売上高で同分野の世界最大手、スウェーデンのエリクソンを抜き、世界トップに躍り出た。経営統合で話題を呼ぶソフトバンクとイー・アクセスの通信基盤も支えている。華為躍進の秘密を同社の中国本社に追ってみた。

車で混雑する華為技術への高速の出口

車で混雑する華為技術への高速の出口

世界の工場、中国経済特区の深セン市。人口は1400万人を超え、東京より大きい新興産業都市の北部に華為の本社がある。香港の国際空港から車で中国本土に入り、高速道路を北へ20分ほど走ると、見えてきたのが「華為」と書かれた緑色の高速出口の表示板だ。

実は高速道路ができた当初にはなかった出口で、華為が従業員の通勤の便を考えて政府に掛け合い、後から設けたという。費用も民間企業である華為が相当程度負担したそうだ。朝の通勤時間帯には華為に通う従業員の車で出口は大渋滞となる。

高速を降りて道沿いに行くと、今度は道路が左右に分かれる。表示板の矢印は右が「華為」、左が「富士康」。富士康とは、シャープとの提携交渉で一躍有名になった台湾の電子機器受託製造の世界最大手、鴻海精密工業の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)だ。

興味深いのは、大渋滞の車はみんな華為の方に向かい、富士康側の道路は路肩を歩く人々の群れで一杯となる。すなわち富士康に向かうのは一般の工場労働者が多く、華為に向かうのは車を所有できる高収入のエンジニアたちというわけだ。

《秘密(1)・広大なビジョンと旺盛なR&D投資》

現地に到着してまず驚いたのが広大な敷地だ。華為は今から25年前、最高経営責任者(CEO)の任正非(レン・ジェンフェイ)氏が1987年に深センで創業し、98年にこの場所に本社を構えた。社内では「キャンパス」と呼ばれ、面積は200万平方メートル、東京ドームの42個分に相当する。

キャンパスと呼ばれる本社(奥に見えるのが高層ビルのR&Dセンター)

キャンパスと呼ばれる本社(奥に見えるのが高層ビルのR&Dセンター)

任CEOはもともと人民解放軍の技術者で、70年代末からのトウ小平氏による経済改革に促されるように通信機器会社を設立。経済特区構想が発足し、深セン市が第1号となると、そこに広大な敷地を獲得した。

キャンパスは8つに区分され、中心にそびえるのが高層ビルの「R&Dセンター」だ。任CEOは「企業の成長は研究開発にある」と信じ、売上高の10%をその費用に充てることにした。11年の投資は38億ドルに上り、売上高の13%に達した。

華為は2011年に国際特許の出願件数で世界3位を誇り、その多くがこの研究センターから生み出されている。ちなみに昨年の世界一位は同じ中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)だった。

華為は世界140カ国以上に事業を展開し、従業員数は14万人を超す。11年の売上高は324億ドル(約2兆5300億円)で、今年は3兆円規模に拡大し、通年でもエリクソンを抜く見通しだ。研究者やエンジニアの数は約6万5000人と、全従業員の44%に達する。

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