2019年9月19日(木)

3Dプリンターで試作新時代 実物とCG組み合わせ
日経ものづくり編集委員 木崎健太郎

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2013/10/7 7:00
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設計開発において試作は時間と費用がかかることから、3D(3次元)CAD(コンピューターによる設計)やシミュレーションで置き換えることによって、効率化を図るメーカーが多い。例えば自動車メーカーは、1990年代には20カ月以上かかっていた開発期間を、デジタル技術による試作削減などで10カ月あまりに短縮した。ところが最近、3Dプリンターの登場などにより、試作に力を入れる企業が増えてきた。物理的な試作とデジタル技術の融合ともいえる動きが始まっている。

本来、物理的な試作品は、画面内のバーチャルな3Dモデルではカバーしきれない情報を持つ。例えば大きさを感覚的に把握することや、触ったり押したりしたときの感触を調べるのは、物理的な試作品の方が圧倒的に分かりやすい。しかしその一方で、時間とコストがかかるという弱点があった。この弱点を、デジタル技術で補うことができるようになったのだ。

トンボ鉛筆の修正テープ「MONO ergo」(左)と、実験用の試作品(右)。実験の結果、最も下にある形状を基に製品を開発した

トンボ鉛筆の修正テープ「MONO ergo」(左)と、実験用の試作品(右)。実験の結果、最も下にある形状を基に製品を開発した

例えばトンボ鉛筆は、3Dプリンターを用いることで、製品開発の上流段階で数多くの形状を検討するようになった。2013年3月に発売した修正テープ「MONO ergo」は、持ちやすさや使いやすさについて人間工学的な視点を取り入れた、従来にない形の製品である。金沢大学の柴田克之教授のグループと共同開発する際、いくつも試作品を作って、モニター調査により持ちやすさ、使いやすさを検証した。

持ちやすい形とはどのようなものか。答えは最初には分からないため、候補をいくつも作ってモニターにテストしてもらわなければならない。従来はデザイン図面を作製して、それを専門の職人が手作業で木型などにしており、非常に時間がかかった。トンボ鉛筆は、まず発泡スチロールから候補の形状を手で削り出し、これを3Dスキャナーで読み込んで3Dデータ化したのち、3Dプリンターで出力。表面を平滑にして下地塗料を塗れば、持ちやすさや使いやすさを十分に評価できるレベルの試作品になる。

同社はこうして作製した試作品を金沢大学に持ち込んで検証する、というプロセスを7回も繰り返した。1回当たりの試作では「最も多いときは二十数個も案を作成した」(同社商品企画部プランニング1グループ担当課長の志水秀雄氏)。持ちやすく使いやすい形状がどのようなものかが分かった後、内部に入る機構の設計にもこの試作品と3Dデータが役立ったという。

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