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電動バイクVBが描く未来図 スマホ連動、充電拠点をFC展開

ユニークなベンチャーが登場した。東京モーターショーにバッテリー交換式の電動バイクを出展したレスク(東京・渋谷)。だが、鈴木大介社長は「電動バイクは製品の一部」だという。では、レスクの主役はいったい何なのか。

富士通がIT技術でサポート

まずはレスクの電動バイクを見てみよう。モデルは2輪のスクーターと、宅配など業務用に使える3輪バイクの2種。最大の特徴は、足を乗せるステップ部分に設置する交換式バッテリーだ。

「バッテリーキャリー」という名の通り、バッテリー下部にはキャスターがついていて、取っ手を伸ばせばキャスターバッグのように引いて運べる。バッテリーはブルートゥースで無線通信でき、スマートフォン(スマホ)画面で電池残量を確認できる。

専用チャージャーを使えばもちろん家庭で充電できるが、レスクが構想しているのは、コンビニエンスストアやスーパーなど街のあちこちに充電ステーションを置き、ガソリンスタンドで車が給油するように、そこでバッテリーを交換する使い方だ。主役は電動バイクではなくバッテリーであり、バッテリーの流通インフラなのだ。

ビジネスモデルはこうだ。レスクはフランチャイズチェーン(FC)方式で加盟店を募る。加盟店はバイクを販売し、バッテリーはバイクの購入者とレンタル契約を結ぶ。購入者は定額を支払えば何回でも交換できる。充電ステーションは加盟店が設置する。レスクは加盟店へのバイク、バッテリーの卸売りと、加盟店からのロイヤルティー収入を収益源とする。

レスクのビジネスをIT(情報技術)で支えるのが富士通だ。位置情報のクラウドサービス「スペーシオウル」で、運転者はどこに、どんな充電状態のバッテリーがあるかが分かる。バッテリーは繰り返し使うと劣化する。ビッグデータ解析技術を使ってバッテリー一つ一つの消耗度合いから寿命を予測し、どのバッテリーをいつ交換するかも計画的にできる。

 充電ステーションを起点に、新たなビジネスも生まれそうだ。例えば充電ステーションを設置したコンビニが、バッテリーを交換しに来店した運転者に割引クーポンをメールで配信すれば、物販との相乗効果も見込める。電動バイクユーザー同士の交流サイト(SNS)をつくれば、知る人ぞ知るおいしい店の情報など、街ネタが詰まったコミュニティーに育つかもしれない。

まずは小さな地域で始動

電動バイクとクラウドの融合サービスは2015年までに事業化する。宅配ピザなど配達事業者や、外回りの営業がある企業を主な対象に、16年までに1万台の販売を見込む。価格は未定だが、「ガソリンエンジンのバイクと比べても競争力がある価格設定にする」(鈴木社長)方針だ。20年までに消費者にも販売する方針だ。

気になるのは、ベンチャー企業が電動バイクの充電インフラをつくれるのかという点だ。四輪では日産自動車や三菱自動車が鳴り物入りで発売した電気自動車(EV)の販売が振るわない。1回の充電で走れる航続距離の短さや充電時間の長さ、そして充電インフラの少なさが普及のネックになっている。

「我々のビジネスは小さな地域から始められる」。鈴木社長に疑問をぶつけると、こんな答えが返ってきた。四輪車のように最初から全国規模の充電インフラをつくる必要はないという。

電動バイクは日常の足。移動距離は数十キロメートルがせいぜいだ。宅配ピザ店なら電動バイクと充電ステーションをセットで購入すれば、それで自己完結できる。こうした「点」が増え、やがて「面」になったとき、社会インフラとしての役割を担うようになる――。これが鈴木社長の考え方だ。

鈴木社長は高校時代に単身渡米。13年間米国に在住し、2003年に帰国した。大学卒業後は米大手自動車部品会社で燃料電池・水素など次世代エネルギー分野でキャリアを積み、アジア・パシフィック地域での新エネルギー事業部門の立ち上げにも携わったが独立し、09年にレスクを設立した。

鈴木社長が描く未来図は壮大だが、その歩みは地に足がついている。近く東北地方の大学のキャンパスで実証実験が始まるという。小さなベンチャーが新たな社会インフラをつくれるか。挑戦が始まった。

(産業部 鈴木壮太郎)

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