2019年2月19日(火)

日の丸ジェットMRJ、のしかかる「40年の空白」
編集委員 安西巧

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2013/9/3 7:00
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三菱重工業傘下の三菱航空機が手がける国産小型旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の開発スケジュールが1年以上遅れることになり、プロジェクトの先行きへの懸念が強まっている。1962年に初飛行した双発ターボプロップエンジン搭載のプロペラ機「YS11」以来、半世紀ぶりに開発を進める国産旅客機として注目が集まっているが、そのYS11の生産が採算難で打ち切られたのが73年。その後の「40年の空白」が予想通り、開発のスピードアップの障害になっている。

■YS11の挫折

振り返れば日本は敗戦後7年間、航空機生産を禁じられ、再起を期して官民共同で取り組んだYS11ではブランクで生じた技術の断裂を紡いでいく作業に時間を費やした。"技術の空白"こそ、航空機開発再参入への道に立ちはだかる壁。YS11ではその克服に時間を要した結果、受注や資金繰りが計画通りに進まず、官民共同出資の事業母体だった日本航空機製造(日航製)は巨額の負債を抱え、破綻に追い込まれた。MRJは二の舞いを回避できるのか。

MRJの開発スケジュールについて記者会見する三菱重工の鯨井取締役常務執行役員(左)と三菱航空機の川井社長(22日、東京都港区)

MRJの開発スケジュールについて記者会見する三菱重工の鯨井取締役常務執行役員(左)と三菱航空機の川井社長(22日、東京都港区)

「民間機の開発計画がほとんどなかったのが大きな理由」

8月22日、スケジュールの遅れを公表した記者会見で三菱航空機の川井昭陽社長はこう語った。

この会見で試験機の機首や胴体などの写真を公開して示したように、MRJの機体製造は順調に進んでいる。胴体を製造するのは親会社の三菱重工業で、同社名古屋航空宇宙システム製作所飛島工場(愛知県飛島村)では胴体のほぼ全容が姿を現している。

問題は、機体を稼働させる電源や油圧、「アビオニクス」と呼ばれる航空機向けの電子システムなど各種装備品の仕様調整に手間取り、部品の調達が遅れてしまったこと。部品は約95万点に達し、7割が海外製とされる。海外に分散し、主なところだけでも数十社に及ぶという部品メーカーに対して的確な指示を出し、整合性を保ちながら全工程の作業を進めていくのが航空機メーカーの役割だが、三菱航空機の場合、経験不足がたたり、部品メーカーとの意思伝達がスムーズに進まなかった。

特に混乱をきたしたのが、日本の国土交通省をはじめ各国規制当局が航空機の安全性確保のために求める機体や部品の「型式証明」の取得作業。部品一つ一つの段階で安全性を検証し、それを組み合わせたコンポーネントとして検証し、さらに機体に組み上がってからまた検証する。

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