「いつやるか? ちょっと後でしょ!」IT革新の本質
栄藤稔・NTTドコモ執行役員

(1/2ページ)
2013/9/7 7:00
保存
共有
印刷
その他

私たちは「イノベーション」という言葉を大学教育、産業振興や企業の研究開発の場で「インベンション(発明)」と混同して使っていないだろうか。

1985年広島大院修了、松下電器産業(現パナソニック)入社。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)や大阪大、NTTドコモのシリコンバレー拠点を経て現職。NTTドコモ執行役員としてR&D戦略を担当

1985年広島大院修了、松下電器産業(現パナソニック)入社。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)や大阪大、NTTドコモのシリコンバレー拠点を経て現職。NTTドコモ執行役員としてR&D戦略を担当

私はイノベーションに関する講演を依頼されることがある。その際、冒頭でイノベーションの定義、言い換えれば本質とは何かを聴衆に問うことにしている。

答えの多くは漠然と「何か新しいもの」。破壊的代替方法の出現、新文化創造、技術革新という言葉も返ってくる。確かにそれらはイノベーションの持つ性質を表しているが本質ではない。私が「イノベーションの本質は『組み合わせ』」と答えると意外な表情を見せる聴衆が多い。

20世紀初頭、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは「イノベーションとは新結合である」と定義した。私は若き研究者の頃、水野博之松下電器産業副社長(当時)からその定義を教えられ、今もそう信じている。

サービス・モノ・生産方法・組織等において、今までにない飛躍的な価値を生む既存のものの新たな組み合わせ(新結合)がイノベーションである。新結合は技術に限ったことではない。一方で新技術の考案、すなわちインベンションは発明と訳される。新結合と発明とは異なる。

例を示そう。ワットが開発した蒸気機関は発明である。これがレールの上を走る機関として用いられた時、蒸気機関車による輸送システムという新結合となった。

1971年にインテル社によるマイクロプロセッサーの発明がIT(情報技術)分野のビッグバンとなった。以降、半導体に関する発明がコンピューターなど多くの新結合を生み出した。ITの黎明(れいめい)期、発展期では組み合わせが意識されることなく、新発明が即座に新結合の誕生を促した。これを「発明起点」の新結合と呼ぼう。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]