硬い工具を「工具」で削る 難削材加工に総力結集
日経ものづくり編集委員 木崎健太郎

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2013/8/6 7:00
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超硬合金、チタン合金、セラミックスといった加工の難しい材料を、切削で効率的に加工しようという取り組みが進んでいる。1社だけの努力によるわけではなく、切削加工メーカー、工具メーカー、工作機械メーカーなどの国内企業がそれぞれの立場で開発した技術によって総合的に技術の蓄積が進んだ結果、可能になってきたものだ。加工の難しい材料を使う部品は、大抵は高精度の仕上げを求められ、付加価値が非常に高いため、国内の切削加工メーカーが積極的に取り組むようになっている。

直(じか)彫り加工で製造した超硬合金製金型部品(東京鋲螺工機)

直(じか)彫り加工で製造した超硬合金製金型部品(東京鋲螺工機)

例えば、東京鋲螺工機(埼玉県新座市)は超硬合金製のプレス金型部品を切削加工で仕上げている。超硬合金は炭化タングステンとコバルトを焼き固めたもので、切削工具自体に用いるほど硬い材料。この超硬合金を、ダイヤモンド・コーティングを施した工具、または多結晶ダイヤモンド焼結体(PCD)を用いた工具で削っているのだ。フォワード(長野県諏訪市)、新日本テック(大阪市)なども、超硬合金の切削加工を手掛け始めている。

これまでも、プレス金型に超硬合金を用いれば、長持ちする付加価値の高い金型にできることは分かっていたが、放電加工を施した後に研削加工で仕上げるという、時間のかかる方法を使うしかなかった。もし、最初から切削加工を実行して仕上げられれば、放電加工のために必要な電極加工が不要になることも含めて、所要時間は3分の1程度になるという。単結晶ダイヤモンドを切れ刃に用いた工具を使えば切削できることも分かっていたが、工具が1本十数万円と高価で、現実的ではなかった。

超硬合金の切削加工が現実的になった要因の一つは、2012年にユニオンツールがダイヤモンド・コーティングを施した工具「UDCシリーズ」の供給を始めたことである。「もともと別の目的でダイヤモンドコーティングを発展させていたところ、超硬合金を削ってみたら思いのほか削れた」(ユニオンツール)という。価格は単結晶ダイヤモンド工具の6分の1程度で済む。

工作機械は、リニアモーターを駆動系に用いている精密微細加工用の工作機械に、刃先位置をCCD(電荷結合素子)カメラなどでマイクロ(マイクロは100万分の1)メートル単位で把握できる装置を組み合わせる。牧野フライス製作所の「iQ300」、三菱重工業の「μV1」などがその例だ。このような機械に最近の工具を「焼きばめ」と呼ばれる方法でブレないように装着する。さらに、切削メーカーがこれまで難削材で蓄積した経験を基に、1マイクロメートル前後の極めて浅い切り込み量にすると同時に工具の回転数と移動速度(送り)を高い値にして、工具の摩耗を遅らせる。工具の動く経路もなるべく直線的にして、カーブで移動速度が落ちないようにする。このような工夫を重ねることで、超硬合金の切削加工が現実的なものになってきた。

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