2018年10月16日(火)

アマゾンの引き立て役になりかねない楽天コボ  カギは「UX」の追求
編集委員 小柳建彦

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2012/8/2 7:00
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楽天の電子書籍サービス「kobo(コボ)」がスタートでつまずいた。閲読端末「kobo Touch(コボタッチ)」の初期設定が滞ったり、電子書店「koboイーブックストア(コボストア)」での和書の品ぞろえに批判が出たり、楽天や三木谷浩史社長の反応にさらに批判が広がったりと、悪循環に陥った。

楽天の電子書籍閲読端末「コボ タッチ」

楽天の電子書籍閲読端末「コボ タッチ」

だが、koboの実力が本当に問われるのは利用者が増えるこれからだ。実際に使ってみると、本質的なUX(ユーザー・エクスペリエンス=利用者体験)にこのサービスの最大の弱点がありそうだ。「打倒アマゾン」を全社的スローガンに掲げる楽天だが、日本向けkoboの開業がかえって電子書店としてのアマゾンの強みを引き立てることになりかねない。

コボストアで本を買おうとしてまず面食らうのは、一般書籍とコミックが混在し秩序もなく並んでいることだ。たとえば「小説・文学」ジャンルの本の一覧ページを開いてみる。すると1番上に「テルマエ・ロマエ」の第1巻、2番目に「ヘルタースケルター」と、人気コミックが表示される。サブジャンルの「文学論・文学評論」にはなぜかピーター・ドラッカーの解説本が上位に並ぶ。

書店ではジャンル別に棚や売り場が分かれており、興味にしたがって気になっていた本や知らなかった本を見つけられるのが当たり前なはず。いわゆる「ブラウジング」と呼ばれる消費者行動だ。現段階のコボストアはとてもブラウジングによる本探しに堪える作りになっていない。書籍の分類は、図書館学という1つの学問が成立するほど知見や創意工夫が問われるプロの仕事だ。日本語版コボストアはそんな分類とラベリングの重要性を無視して見切り発車したとしか思えない。

「コボ タッチ」の販売を発表する楽天の三木谷浩史社長

「コボ タッチ」の販売を発表する楽天の三木谷浩史社長

ネット上の書店をブラウジングして本を買おうという人はそもそも多数派ではないだろう。多くの人が目当ての書籍があって、それを検索で探して買いにくる。コボストアもそういう使われ方が多いだろう。ところが、コボストアでは検索の使い勝手がブラウジング以上にお粗末なものになっている。

たとえば人気作家の重松清の本を探すとする。コボストアの売れ行きランキングの最上部に「コーヒーをもう一杯」が載っているので、何冊か取り扱っているはずだ。検索窓に「重松」と入力すると検索結果が0(ゼロ)件になってしまう。「重松清」とフルネームを入力すると5件出てくる。一方、「赤川」と入力すれば今度は赤川次郎の本が検索結果に表れる。

今度は米国の人気作家ダン・ブラウンの本を探してみる。「Brown」と入力すると検索結果の3番手に彼の「The Lost Symbol」が登場する。それでは「Dan Brown」とフルネームを入力するとどうか。今度は4番手に初めて彼の作品が挙がるようになった。いったいどうなっているのだろう。検索結果の並び順の初期設定は「検索結果」。これがどんな順位付けなのか一般利用者には想像がつかない。つまり、いったいどういう仕組みで検索しているのか、利用者にわかりにくい。

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