2019年9月24日(火)

軽量化の切り札、複合材料で東大阪の中小5社がスクラム

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2011/8/9 7:00
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歯ブラシから人工衛星まで―――。これは全国屈指の中小企業の集積地である大阪府東大阪市の強さを象徴するような言葉だ。東大阪では今、そのものづくり力に磨きをかけるため、新たな分野を開拓する動きが出ている。自動車や航空機の軽量化材料として注目される炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に着目した有志企業が研究会を立ち上げた。産学連携で既存の金属プレス機を活用した製品の量産やリサイクルの技術開発を狙う。

CFRPは、アルミより軽く鉄より強いうえ、さびないのが特徴だ。ボーイング社の最新鋭機「787」の機体にも採用され、従来より2割の燃費向上に貢献し話題になった。自動車の車体の軽量化にもつながり、電気自動車の走行距離を伸ばすために役立つと期待されている。

その将来性に目をつけた東大阪市内の中小企業が「e・コンポジット研究会」と名付けた組織を立ち上げたのは今年3月のことだった。金属プレスの浜田プレス工芸、プレス金型製造の小西金型工学のほか、樹脂製品加工のカツロン、リサイクル用破砕機製造のホーライと複合材料を使った製品デザインを手掛けるマジックボックスJPの5社が名を連ねる。

研究会の技術顧問、近畿大学理工学部の西籔和明准教授

研究会の技術顧問、近畿大学理工学部の西籔和明准教授

取り扱うのは熱を加えれば成形し直せる熱可塑性CFRP。現在の主流は再成形できない熱硬化性の素材だが、それでは量産化になじまない。しかも一度、加熱して固めてしまうと形を変えられないのでリサイクルできないからだ。

各社が得意分野を生かし、既存の金属プレス機で加工できるよう後付けの加熱装置の開発やリサイクル技術の確立を目指す。6月末には中小企業庁の「戦略的基盤技術高度化支援事業」(通称サポイン)にも採択され、3年間で約9000万円の補助金が出る見込み。9月から本格活動に入る予定だ。

今回の構想の生みの親で研究会の技術顧問を務める近畿大学理工学部の西籔和明准教授によると「現在、熱可塑性のCFRPは60センチ角の板で1万円もする。欧州製の専用プレス機は最低でも1億円と、高い」という。

浜田プレス工芸の浜田恵社長

浜田プレス工芸の浜田恵社長

既存設備を活用した量産体制から、使い終わったものの再利用の仕組みまで構築できれば材料と生産面の双方でコストが抑えられる。しかも、中小企業にとっては、製品の高付加価値化につながる。国内産業の空洞化が叫ばれるなか、西籔准教授は「目指すは日本国内での地産・地消・地再」と力を込める。CFRPの新技術の開発で、東大阪という地域のものづくり力の強化につなげたいという意味だ。

この考えに共鳴したのが、市内企業の活性化に頭を悩ませる東大阪市経済部。市内には専業の金属プレス業者だけで約160社ある。しかも樹脂成形業者や破砕機メーカーなどリサイクルの技術開発に適した業種もそろっている。昨年来、CFRP関連のセミナーを開催し、関心の高い企業を募るなど研究会発足を側面支援してきた。

研究会の会長を務める浜田プレス工芸の浜田恵社長は、「大手の海外移転で仕事は少なくなる上、毎年の値下げを求められる。このままでは日本の金属プレス業の衰退は避けられない」と業界の現状に危機感を募らせる。CFRPに光明を見いだすべく加熱装置の開発を担う。

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