2018年8月22日(水)

円周率3.14や台形公式が復活へ 小学校教科書
学力向上へ質も量も重視

2010/3/30付
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 来年春から小学校の教科書が姿を大きく変える。「ゆとり教育」と批判を浴びた2000年度検定の教科書に比べ算数と理科のページ数は1.7倍。円周率「3.14」の復活など、ゆとり脱却を鮮明にした08年の学習指導要領を反映した学力重視の内容だ。くすぶる「学力低下」の懸念をぬぐえるのか。質と量の両立を迫られる現場からは「授業時間が足りない」と不安の声も出ている。

 九九を習う2年生で早くも2けた同士のかけ算に挑ませる。「3」でもよいとされてきた円周率は「3.14」に逆戻り。台形の面積の公式も復活するなど、今回登場した教科書は質、量とも現行を大きく上回る「てんこ盛り」の様相だ。

 3年生向けのある算数の教科書は練習問題を目的別に「力をつけるもんだい」「ほじゅうのもんだい」と分類して大量収録。さらに「マイノートをつくろう」と、考え方を論理的に整理するノートの取り方を教えるなど、単純な計算力と数学的思考力の二兎(にと)を追う中身になっている。

 6年生の算数では初めて3分冊形式が登場。3冊目は「中学校へのかけ橋」と銘打たれ、負の数や無理数、1次関数などがずらり。前倒しで中学校の内容に触れたい児童の要求に応える構成になっている。

 文部科学省は1970年代以降、約10年ごとの指導要領改定のたびに内容を削り続けてきた。転機になったのは、03年実施の経済協力開発機構(OECD)の国際学力テスト(学習到達度調査=PISA)の順位急落。学力低下論争が巻き起こり、「ゆとり教育」への疑問が高まった。

 08年公示の新指導要領は大幅に学習項目が上積みされ、理数系を中心に授業増が盛り込まれた。今回の教科書はそれに沿った濃密な内容になった。

 例えば国際学力テストで弱点と指摘された、知識を横断的に応用する力。算数でゴミの量と二酸化炭素(CO2)の排出量の関係を取り上げて「算数の目でみてみよう」と促したり、逆に社会で生産品量のグラフを読み取らせたりと、教科をまたがって考えさせる内容が随所に目立つ。

 国語で4種類の新聞の投書を読ませ、納得できるものを選んで理由を書かせるなど、国際学力テストに多い読解力を問う課題を盛った教科書も増えた。理科では教員自身が子ども時代に習った経験のない発光ダイオードなど先端の話題を取り上げ、科学への関心を高めようとする試みがみられた。

 サイズの変化も顕著。縦をB5のまま横をA4の大きさに広げた「AB判」が全体に占める割合が、6年前の3%から今回は23%まで高まった。

 「国際学力テストの低迷は批判を受けても仕方がない」。文科省幹部はゆとり路線が思うような結果を残せなかったとの見方を示したうえで、「今回の教科書は応用力が重視されている。弱点を改善する転換点になり得るのではないか」と話す。

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