2019年7月19日(金)

シリア軍事介入、米英仏「正当性」に腐心 世論にらむ

2013/8/29付
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【ロンドン=上杉素直】シリアへの軍事介入に動く米国、英国、フランスが、攻撃に正当性があることを証明しようと様々な手続きを取り始めた。英国は武力行使への参加をめぐる議会の審議を国連の現地調査が終わる今週末以降に延期。軍事介入に国内外から反対論も渦巻くなか、欧米各国は慎重な意思決定を演出し、関係者の理解を得たい考えだ。

シリアでの化学兵器使用について、米国のオバマ大統領が「アサド政権が実行したと結論付けた」と武力行使をにじませた28日。英国のキャメロン首相は武力行使をめぐる議会の最終決議を臨時招集した翌29日から延期すると表明した。拙速な武力行使との批判をあらかじめ避ける狙いとみられる。

英政府は29日、「安保理での行動が封じられた場合でも、シリアの人道的危機を軽減するために英国は例外的な手段を講じることができる」と軍事行動を正当化する声明を公表した。

「国連のチームが調査を続けられることを願う」。国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は28日にオバマ米大統領にそう伝えたと記者団に明かした。国連調査団は30日までの予定でシリアで化学兵器の使用について調べている。調査結果が出る前に軍事行動をとらないようけん制した格好。英国は国連の調査結果を踏まえ、来週にも議会で最終判断する。

英国内では、野党労働党だけでなく連立与党内にも武力行使への慎重論が残っている。労働党のブレア政権時代に決断したイラク戦争への参戦の決定プロセスが近年、英国内で批判された経緯もあり、性急な手続きを避けたいという点で与野党が一致している。直近の世論調査で、英国民の半分がシリアへのミサイル攻撃に反対していることも背景にある。

国内と同様、早期の武力行使への慎重論は国際社会にもくすぶる。北大西洋条約機構(NATO)は28日にブリュッセルで理事会を開いたものの、NATOとしてのシリアへの武力行使は難しいとの見方が大勢。このため米英仏はイラク戦争やリビア内戦の時のような有志連合での攻撃を想定しているとされる。

現地情報を可能な限り収集し、周到な準備ぶりを印象付けようとの姿勢ものぞく。フランスのオランド大統領は29日、パリの大統領府でシリアの反体制派統一組織「シリア国民連合」のジャルバ議長と会談。シリア情勢について意見交換した。

オランド大統領は記者団に「エスカレートする暴力を止めるため、国際社会は必要な措置をとるべきだ」と述べ、軍事的な介入の可能性を改めて示唆。「政治的解決のためにあらゆることがなされるべきだ」とも主張し、対話の努力を訴えた。

一方、中国の王毅外相はシリア情勢について「外部の軍事介入は国連憲章の主旨に反し、中東情勢をさらに不安定にする」との談話を発表。米国などによる軍事介入に反対する意向を鮮明にした。

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