2019年8月23日(金)

アップルが新iPad 「モバイル経済圏」激戦に

2013/10/24 1:08
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米アップルがタブレット(多機能携帯端末)「iPad(アイパッド)」の新型機を発表した。新製品を通して狙うのは機器の販売収益だけではない。携帯端末を入り口とする様々なネットサービスの取り込みだ。これまで米アマゾン・ドット・コムなど他の大手に比べサービス事業が手薄だったアップル。膨大な「モバイル経済圏」の争奪戦に本腰を入れる。各社の主導権争いは激しくなりそうだ。

「ほんの始まり」

「これはほんの始まりにすぎない」。新製品の発表会でティム・クック最高経営責任者(CEO)はこう強調した。iPadは初代の発売から3年半。それでも「始まり」と表現したのは、アップルが「ハードとソフト、サービスを融合した会社」(クックCEO)として存在感を示したいとの意思表示。従来に比べ2割薄く、3割軽量化して完成度を高めた新iPadはその先兵になるとの位置づけだ。

タブレットの世界市場は年間7兆円規模とされるが、その先に広がるネットサービスの規模ははるかに大きい。どこでも好きな時に使えるモバイル端末は世界の経済活動の入り口として急速に存在感を増し、物販、決済、広告などあらゆるサービスがモバイル経済圏に取り込まれつつある。

米調査会社ガートナーによると2013年にモバイル機器を使う決済規模は世界で約23兆円となる見込み。17年にはさらに3倍の約70兆円にまで膨らむ。

タブレットとスマートフォン(スマホ)を合わせた世界出荷台数は13年に12億台強、17年には21億台以上に増える見通し。この間、タブレットは電子書籍や動画配信などで普及が加速、スマホを上回る79%の成長となると米IDCは予測する。

アップルは個人向けだけでなく、法人向け需要も本格化するとみており、タブレットを入り口に膨大な経済活動の取り込みを狙う。グーグルやアマゾンのタブレット参入も、自社のネットサービスを広げていく有力なツールになると判断したためだ。顧客が増え、自社サービスを経由する取引が増えれば、手数料収入も収益源となる。

顧客基盤強み

アップルはすでに音楽やアプリケーションソフトの配信でハードとサービスの融合を進めている。ただ、13年4~6月期の売上高は5割がスマホ、2割はタブレットで、ソフト・サービスは1割強。電子書籍には10年に参入、広告やSNS(交流サイト)などは後手に回っている。

巻き返しへの武器は他社に勝る顧客基盤。アップルのモバイル機器販売台数は累計6億台。クレジットカードの登録件数は5億件以上とされる。アマゾンは登録利用者が2億1500万人。ネット決済で急成長するイーベイ傘下のペイパルも登録者は1億3700万人にとどまる。

あらゆるサービスをのみ込むモバイル経済圏での競争は利用者の「時間と財布」の奪い合い。クックCEOの言う「始まり」は激化する争奪戦への号砲だ。

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