催涙ガス・飛び交う怒号…米韓FTA、韓国が批准

2011/11/22付
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【ソウル=山口真典】韓国与党ハンナラ党は22日、野党の強い抵抗を押し切って米韓自由貿易協定(FTA)の批准同意案を強行採決した。日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に焦る李明博(イ・ミョンバク)大統領は早期批准を強く訴えていた。米韓FTAの批准案可決で、焦点は日本や中国とのFTA交渉に移る。

採決に抵抗する野党議員が議場に催涙ガスをまいた(22日、韓国・ソウル)

採決に抵抗する野党議員が議場に催涙ガスをまいた(22日、韓国・ソウル)

強行採決の舞台となった国会本会議場。野党議員がまいた催涙ガスで白くかすみ、議長席の周囲では怒号が飛び交う。だが、朴●(火へんに喜)太(パク・ヒテ)議長の命令で国会議員以外の議事堂立ち入りを禁止。多くの野党議員が採決に間に合わず欠席するなか、批准案の電子投票は数分であっけなく決着した。

なぜこの時期の採決だったのか。米国は李大統領が訪米した10月に上下院が米韓FTA実施法案を可決したが、韓国国会は6月の提出から野党の反対で採決先送りが続いていた。李大統領は日本などのTPP交渉参加表明に「(通商環境の改善で)遅れるのではないかと焦燥感を抱く」と強調。異例の国会訪問までして早期批准を訴えた。

国会会期は12月9日までだが、2012年度予算案の審議を残しており、李大統領が約束した「来年初めの米韓FTA発効」まで余裕は少ない。シャーマン米国務次官(政治担当)も22日、ソウルで記者団に「できるだけ早く韓国国会が批准してほしい」と迫っていた。

支持率低迷に悩むハンナラ党は来年4月の総選挙と同12月の大統領選を控え、国民から批判を浴びる野党との衝突はできるだけ避けたかった。抜き打ちの採決には野党の抵抗を少なくする狙いがあったが、強行採決に野党は反発を強めており、12年度予算案審議などを巡り与野党対立が深まる事態も想定される。

韓国政府はTPP交渉の行方に神経をとがらせているが、通商政策では「2国間FTAの推進」を原則に掲げる。多国間交渉より進展が早いと判断しているためで、今後の焦点は米国同様に貿易取引の多い中国との交渉開始と日本との交渉再開だ。李大統領はTPP交渉の状況をにらみながら日中との交渉時期を判断することになる。

日韓経済連携協定(EPA)の政府間交渉は04年11月から中断したまま。両政府は交渉再開に向け実務レベルの協議を続けるが、日本の民主党政権で政局混迷が続いたこともあり韓国側は慎重姿勢。一方、中韓FTAは産官学による事前研究を経て、韓国政府内には日本より先に交渉を開始するとの見方がある。

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