2019年1月24日(木)

疑惑1年半の増資インサイダー、中央三井系にメス

2012/3/22付
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住田・中央三井アセット信託社長「関係者には深くおわびする」

住田・中央三井アセット信託社長「関係者には深くおわびする」

約1年半前から指摘されてきた「増資インサイダー」疑惑にメスが入った。証券取引等監視委員会は21日、事前に入手した公募増資に関する内部情報を基に発表前に株式を空売りし利益を得たとして、中央三井アセット信託銀行に課徴金を科すよう金融庁に勧告。海外のヘッジファンドなども同様の不公正取引を手がけていないか調査を強化するが、日本市場の信頼回復へ課題も多い。

監視委によると、インサイダー取引をしたのは中央三井の株式運用部門のファンドマネジャー。主幹事証券の一社の営業担当者から2010年6月30日に、国際石油開発帝石が公募増資をするとの情報を入手。7月8日の増資発表前に国際石開帝石株を空売りするなどし、発表後に下落したところで買い戻して、運用する海外投資家向け日本株ファンドに1400万円強の利益をもたらした。

■「前例ない事案」

中央三井の住田謙社長は21日記者会見し、「法令順守の徹底が不十分だった」などと陳謝した。運用担当者と証券会社の営業担当者との接触禁止などを含む再発防止策を策定するほか、独自の特別調査委員会を立ち上げたことを明らかにした。

監視委は主幹事証券の営業担当者が業務の中でインサイダー情報を伝えた点、大手の機関投資家である信託銀行が当事者だった点、投資家の資金を使ったインサイダー取引であった点の3点がいずれも初めてと指摘。監視委幹部は21日、「日本の証券市場にとって前例のない非常に重大な事案」と強調した。

課徴金は不正に得た利益にかかる。今回のケースでは運用で生じた利益は投資家のもので、中央三井の利益は運用報酬のため、課徴金は5万円という少額となった。

■経緯解明道半ば

インサイダー情報の伝達ルートについては明確にはなっていない。これまでは、企業が増資を正式決定する前に海外の大口機関投資家に大まかな発行金額を伝え、購入希望を聞き取る「プレヒアリング」が不正取引の温床とされてきた。ただ国内向けにはすでに規制ずみで、国際石開帝石の場合、海外向けのプレヒアリングも実施していなかった。

主幹事証券の営業担当者が中央三井のファンドマネジャーに伝えたことは明らかにされたが、営業担当者が本来、知り得ない増資の情報を入手した経緯は不明だ。証券会社は企業の増資などの相談にのる投資銀行部門と、営業部門の間に情報の壁を設けている。今回それが機能しなかった可能性がある。

監視委は「株価下落で発行会社の調達額が下がっただけでなく、信頼を落とした日本市場も被害を受けた」と当該の主幹事証券も批判。国際石開帝石の公募増資の主幹事を務めた4社のうち、野村証券は「誠に遺憾であり、引き続き当局の調査に全面的に協力していく」とのコメントを発表した。みずほ、ゴールドマン・サックス、JPモルガンの3証券はいずれも「コメントは差し控える」としている。

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