基金2兆円使い残し 経済対策で設立の2500カ所
検査院「机上の計算だった」

2011/10/17付
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リーマン・ショックを受けた緊急経済対策として2008年度と09年度の国の補正予算で設立された各都道府県の基金を会計検査院が調べたところ、10年度末時点で総額約3兆4000億円の41.4%しか使われず、約2兆円も残っていたことが17日、分かった。ずさんな予算編成に検査院は「国は机上で算出した需要額で配分し、実態と合っていない」と指摘している。

検査対象となった主な基金事業
所 管内容執行率交付金の
残 額
厚労省離職した非正規労働者に職業訓練45.8% 4490億
 2600万円
介護事業者への助成44.7% 2429億
 9600万円
地域医療の再生に向けた事業を補助12.1%1946億
 8700万円
文科省私立高校の授業料を補助31.4% 323億
 1100万円
農水省肉牛農家への補助9.7% 61億
 5600万円
内閣府消費生活相談窓口の拡充41.4% 128億
 6600万円

(注)残額と執行率は2010年度末時点、会計検査院調べ

検査院は43都道府県(被災4県除く)の約2500基金について検査。基金が活用された割合を示す執行率は08年度に設立された基金で47.8%、09年度の基金で32.4%で、全体では約1兆4000億円しか使われていなかった。

主な事例では、学校給食に地元の農作物の利用を進める京都府の基金で、2億6890万円のうち1.9%の506万円しか使われず、残額が国に返還された。また社会福祉施設の耐震化を促す東京都の基金では、交付された約67億円のうち使われたのは3.8%の約2億5620万円にとどまっている。

短期間で成果を出すため、当初は大半の基金は事業終了年度を今年度末までに設定。だが今年度中に終了予定の基金では計約1兆円、期限を延長して12年度以降に終了する基金でも計約1兆円が残っている。検査院は「活用されないまま多額の基金が国に返還される可能性が大きい」としている。

基金は失業した非正規労働者を対象にした職業訓練や介護従事者への報酬上乗せなど約7割が厚生労働省の事業。ほかに肉牛農家への補助や高校生の授業料減免などがある。自民党政権下の08~09年度に各省庁が交付金を支出する形で都道府県などに設立された。

問題は地方自治体のニーズを点検せず、国主導で予算を編成した点にある。使途を細かく定めた多数の基金ができた結果、かえって自治体の使い勝手は悪くなった。

安易に基金を多用した面もある。通常国や地方自治体の予算は単年度で消化するルールに縛られるが、基金を使えば事業実施は複数年度にわたることを認められる。急を要しない予算が多く計上され、役所の権限や縄張りだけを広げる悪弊を招きやすい。

今回の調査の対象となった基金の設立は自民党政権下だが、緊急経済対策などを実施する際の構造的な問題点として今後も点検が必要だ。

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