2019年1月23日(水)

東証・大証統合新市場、世界で競う デリバティブ課題

2013/7/16付
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東京と大阪の両証券取引所が16日、現物株の市場を統合し、取引を始めた。東京株式市場は、上場企業数や株式売買代金で世界第3位の市場となった。だが、世界を見渡せば、指数先物など、より高度な金融商品の市場を軸に再編が進んでいる。日本取引所グループも来春には先物などを統合して巻き返しを図るが、世界市場での競争は、これからが本番となる。

統合で東証の上場社数は3423社となり、世界7位から、インドとカナダの取引所に次ぐ3番目に浮上。売買代金や上場企業の時価総額でもNYSEユーロネクスト、ナスダックOMXグループに次ぐ3位を固めた。売買が厚みを増し、投資家にとっても取引をしやすくなる利点がある。

東証と大証が統合して今年1月に発足した日本取引所グループは「アジアでナンバーワンを目指す」(斉藤惇グループ最高経営責任者)という目標を掲げる。現物株の統合はその第一歩となる。

大証と現物市場統合し、記者の質問に答える東証の清田社長(16日、東証)

大証と現物市場統合し、記者の質問に答える東証の清田社長(16日、東証)

だが、課題も多い。上場企業としての日本取引所の時価総額は、世界で9位にとどまる。1位のシカゴ・マーカンタイル取引所をはじめ、市場が評価する取引所はいずれも、先物やオプション取引といったデリバティブ(金融派生商品)の取引で強みを持つところだ。

大量の投資マネーが瞬時に世界を駆け巡り、金融取引の手法はグローバル化・高度化が進む。その中で、デリバティブの取引需要を取り込んだ取引所が成長し、再編の主導権を握っている。

象徴例が、昨年の米インターコンチネンタル取引所(ICE)によるNYSEユーロネクストの買収合意。NYSEユーロネクストはニューヨーク証取を抱え、現物株で圧倒的な世界首位だが、エネルギーや農作物などの取引で急成長する新興勢力のICEへの「身売り」を余儀なくされた。世界の非鉄金属先物取引の中心であるロンドン金属取引所も昨年、高い時価総額を誇る香港取引所に買収された。

主な世界の取引所再編の動き
統合で合意した取引所
2006NYSEとユーロネクスト(07年4月に完了)
07ナスダックと北欧のOMX(08年2月に完了)
10シンガポール取引所とオーストラリア証券取引所(その後断念)
11ロンドン証券取引所とカナダのTMXグループ(その後断念)
NYSEユーロネクストとドイツ取引所(その後断念)
東証と大証(13年1月に完了)
12香港取引所とロンドン金属取引所(12月に完了)
インターコンチネンタル取引所とNYSEユーロネクスト

日本取引所も、来年3月には先物やオプションなどの市場を大阪に統合し、取引機能を一段と充実させる。だがそれでもデリバティブの取扱高は世界17位にすぎない。

投資家の呼び込みへ、日本取引所は取引分野の拡充を急ぐ。金や原油などの商品市場を含め、デリバティブの強化が不可欠だ。世界の主要取引所との連携も課題となる。

東証の清田瞭社長は16日、記者団に「現物株市場の統合は経営統合の通過点だ」と述べた。日本取引所首脳は「東阪統合だけで満足すればアジア内の競争に後れを取る」と危機感を募らせる。派生商品の拡大をテコに自らの企業価値を高め、再編で主導権を取れるかどうかが、競争に勝ち残るカギになりそうだ。

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