尖閣国有化 中国の強硬姿勢、政府想定超す

日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化したのを受け、中国が対抗措置を拡大している。14日朝に中国の海洋監視船6隻が領海に侵入。満州事変から81年を迎える18日にかけて緊張がさらに高まる可能性もある。日中両国の対立が深まるなか、日本企業の活動にも影響が及びつつある。
日本政府は想定以上に強硬な中国側の姿勢に戸惑っている。河相周夫外務事務次官は14日朝、領海侵入に抗議するために程永華駐日中国大使を呼び「現在もっとも重要なことは、双方が大局を見失わず、冷静に対応することだ」と呼びかけた。粘り強く中国への説明を続ける一方、領海侵入への警戒監視を強める。
日本の外務省は「石原慎太郎東京都知事が買うよりも国有化の方がよいと中国も理解している」との感触を得ていた。
しかし、10日の中国外務省声明は「右翼勢力が『島購入』騒ぎを巻き起こすのを大目に見て、放任することで、自らが前面に出て『島を購入』するための道をつけた」と国有化を批判。胡錦濤国家主席ら最高指導部9人のうち4人が続けざまに国有化を非難するなど双方の事務レベルで制御できない局面に入った。
山口壮外務副大臣は13日の記者会見で「外相や首相のレベルでもっと説明をしたかった。都知事が買おうとすることに対し国有化の方がよい、とよく説明した方が物事はスムーズにいった」と語り、首脳や閣僚レベルでの説明不足を認めた。
日本政府は中国側の対抗措置の広がりを読みかねている。2010年9月の尖閣沖の中国漁船衝突事件ではレアアース(希土類)輸出規制や日本企業駐在員の拘束に発展した。日本政府は中国に報復措置はとらずに事態を収拾したい考えだ。
大量の漁船が尖閣周辺の領海内に侵入してきた場合、海上保安庁は必要に応じて法令に基づく立ち入り検査などを実施する。悪質な場合は検挙も視野に入れている。