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オリンパス、損失隠し20年のツケ

オリンパスの損失隠しが1990年前後の「バブル経済」以後の長期にわたっていたことが8日、明らかになった。金融商品による最大千数百億円に上る含み損を、企業買収などに伴う資金操作で穴埋めしていた。高山修一社長は「過去の企業買収は手続きも金額も適正」との従来の説明を撤回。8日の株価は前日比で約3割下落した。有価証券報告書などの虚偽記載があれば、上場維持も焦点になる。経営や市場への打撃は大きい。

財テク失敗が発端

「認識していたと思う」。高山社長は同日に都内で開いた記者会見で、菊川剛前社長が損失隠しの違法性を理解していたか問われ、こう答えた。7日夜には森久志副社長が高山社長に、損失隠しの経緯を報告。その後で菊川氏から「今まで黙っていて申し訳ない」と言われたという。

高山社長は損失隠しが始まった時期は「90年代とは分かっている。それ以前の資料がないが、日本企業が財テクに走った時期から」と、長期にわたっていたとの認識を示した。過去の損失隠しの具体的な手法や金額については「第三者委員会の調査結果を待つ」とした。

オリンパスは85年のプラザ合意以降、剰余資金などを本業との関係が薄い証券投資に回す「財テク」に傾いていった。円高進行で輸出採算が悪化する一方、株式相場は好調。多くの企業が手軽に収益を増やせる手法として注目していたことを背景に、同社も特定金銭信託(特金)などの金融商品の運用を増やし、営業外収支の改善を目指した。

だがバブル崩壊をきっかけに多額の含み損が発生。「会社に大きな損失を与える可能性があった」(高山社長)。2000年3月期に特金で約140億円の損失を計上したものの、それを大幅に上回る未処理の含み損が残っていた。

業績回復で損失の穴埋めを図ったが、景気の低迷もあり想定通りの収益が見込めなくなった。実際、90年代の純資産額は1300億~1900億円程度。多額の損失が出れば自己資本が大きく毀損する可能性があった。

このため01年3月期に時価会計制度が導入される前に損失隠しを画策したとみられる。形式上は手数料や買収金額の形をとって損失を穴埋めすることで、決算での大幅な損失の計上を回避したもようだ。

高山社長「知らなかった」

一連の企業買収は取締役会の決議を経て実施されたが、高山社長は買収資金が損失隠しに使われたことについて「7日に森副社長の報告を受けるまで全く知らなかった」と語った。

オリンパスは菊川氏が約10年、その前任の岸本正寿氏が約8年にわたって社長を務めるなど、歴代社長の在任期間が長い。監査法人監査役会が長年にわたって損失隠しを見抜きにくい企業風土となっていた可能性がある。

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