手近なレジャー活況 GW、大型施設などにぎわう
今年のゴールデンウイーク(GW)は東阪の大型施設を中心に国内のレジャーが活況だった。初のGWを迎えた東京スカイツリー(東京・墨田)、大阪駅北側の再開発施設「グランフロント大阪」などが順調に集客。日並びの悪さから海外旅行が不振の半面、旅行者数が過去最高となったもようの国内は手近なところで楽しむ傾向が強かった。
JTBは事前に今年のGWの国内旅行者数を過去最高の2223万人(前年比1%増)と予測。実際にはJTBのGW期間中(4月25日~5月7日)の国内旅行者数は前年同期比3%、日本旅行は7%増えた。
方面別では東北と首都圏が好調。JTBは東北への旅行者数が前年比5%増、首都圏へが7%増、日本旅行はそれぞれ7%と13%前年を上回った。東北はNHK大河ドラマ「八重の桜」の効果で福島県会津若松市の鶴ケ城やいわき市への観光客が伸びた。
首都圏のけん引役は開業30周年の東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)と東京スカイツリーだ。TDRは記念イベントに加え、天候にも恵まれ「過去最高水準の入園者数」(運営するオリエンタルランド)となった。展望台や商業施設を含めた東京スカイツリータウンには4月27日~5月6日に約177万人が来場。昨年5月下旬の開業直後に次ぐ水準になった。
国内は交通機関の利用も堅調だった。航空会社が7日発表したGW(4月26日~5月6日)の利用実績は、日本航空グループの国内線旅客数が前年比1.7%増。全日本空輸は前年実績に0.9%届かなかったが、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは6万9037人で前年の約2倍に達した。
鉄道は東日本旅客鉄道(JR東日本)の上越、長野、秋田新幹線が4%増。東海旅客鉄道(JR東海)の東海道新幹線も2%伸びた。JR東日本では近距離切符の販売枚数が5%増え、近場で連休を楽しむ消費者が多かったことを示す。
こうした手軽な連休の過ごし方の受け皿となったのが、新規開業や大規模改装のあった東阪の大型商業施設だ。JR大阪駅北側再開発地区「うめきた」に開業した大型複合施設「グランフロント大阪」の4月26日の開業から5月6日までに367万人が訪れた。
東京では4月下旬に改装した東京・六本木の2施設がにぎわった。主に高級ブランド店を増やし2割の店舗を入れ替えた森ビルの「六本木ヒルズ」は連休中の売り上げを前年比約4割、3割の店を刷新した三井不動産の「東京ミッドタウン」は3割強伸ばした。「『海外には行けなくても国内でプチぜいたくを』というニーズをつかんだ」(森ビル)とみる。
過去最高だった前年から5%の落ち込みが予想された海外旅行は日航の国際線の利用客数が1.1%減、全日空が4.2%減った。前半の3連休と後半の4連休に分かれ、長期の休みが取りづらく広がりに欠けた。通常なら短期旅行の行き先となる中韓方面が、昨秋以降の不振から脱しなかったのも響いた。
前年割れとなったGWの海外旅行も客数の水準自体は高い。今後もシニアの旅行需要が底堅く、需要を下支えするとの見方も強い中、円安の影響の広がりが焦点となる。旅行商品の価格に反映されるのは秋以降になる見込みで、旅行各社は需要を冷やさないよう知恵を絞ることになりそうだ。
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