2019年2月20日(水)

東証システム障害、高速取引と安全のジレンマ

2012/8/7付
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東京証券取引所で7日、システム障害が起き、株価指数や日本国債の先物などデリバティブ(金融派生商品)の取引が約1時間半、全面停止した。今年2月に241銘柄の株式取引を半日停止した大規模障害からわずか半年で、取引所の生命線ともいえるシステムの根幹部分の弱みが浮かび上がった形だ。来年1月の大阪証券取引所との統合を前に課題を残した。

システム障害を受け、記者会見で頭を下げる担当者ら(7日午後、東証)

取引システムは午前9時22分から同10時55分まで停止した。当初は9時18分からと発表していたが、その後修正した。

東証は7日夜の会見で「通信機器(ルーター)の故障が原因。予備用の機器にも自動で切り替わらなかったため、手動で対応した。原因は調査中」(宇治浩明IT開発部トレーディングシステム部長)と説明した。故障した機器は交換し、8日の取引からは通常通りの売買ができる見通し。

今年2月2日に起きた大規模障害ではサーバーの故障やソフトウエアに不備が見つかり、システムのバックアップ体制に問題があったことも明らかになった。その後、売買に関わるシステムの予備機器を総点検したが、今回についても東証は「自動切り替えの失敗という意味では同じ」(宇治部長)との認識を示した。バックアップという初歩的な部分で不具合が相次いだ形になる。

システムの停止の影響は現物の国債市場にも及んだ。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日比0.045%高い0.780%まで上昇した。この日は政局を巡り先行き不透明感が出ていたほか、40年物国債の入札日。価格変動リスクを回避したい投資家は「国債先物を売れないため、現物債を売った」(証券会社)という。

東証では過去にも、売買システムの処理能力不足などからシステム障害が起きる例があった。対応策としてシステム増強などを進めてきたが、高速な売買を繰り返すヘッジファンドの取引需要が増えるなど、取引内容は複雑・高度化する一方だ。東証は「原因究明を進めるとともに、改善策を進める」という。

東証は来年1月に大証と統合し、多額のシステム投資に備える。統合後は現物株の売買は東証に集約する一方、デリバティブ取引は大証に一本化する方向だ。このため「東証のデリバティブ関連のシステム担当者には油断があったのではないか」(システム会社関係者)との指摘もある。

今回の問題を受け、金融庁は7日、東証に対しシステム障害の原因究明や再発防止策を報告するよう、金融商品取引法に基づいて命令した。仮に重大な問題があった場合は、業務改善命令などの行政処分を検討する。

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