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ソニー、背水のリストラ 平井社長「テレビ、売却せず」

ソニーがパソコン事業の売却やテレビ事業の分社、5000人の人員削減を柱とする合理化策を発表した。テレビなど「エレクトロニクス」分野は同社の祖業だが、近年は経営の足を引っ張ってきた。これまでも「黒字転換」を約束してきたものの、いまだ浮上のメドは立たない。これ以上再建が遅れると株主や市場からの信用を失いかねないとの危機感がリストラに踏み切らせた。ただ、市場にはなお厳しい見方がある。

「(パソコン事業売却は)苦渋の決断だった」。平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は6日の記者会見でこう説明した。

1996年に米マイクロソフトや米インテルと組んで開発したパソコン「VAIO(バイオ)」はソニーが家電からIT(情報技術)分野に進出する象徴となった。経営に影響力を持つとされる出井伸之・元CEOが始めた事業だけに扱いは難しかったが「エレキ再生の決意を示すため決断した」(幹部)。ソニーにとって看板商品での「撤退」は初めてだ。

テレビ事業は7月に分社して子会社にする方針を打ち出した。売却に向けた布石との見方もあるが、ソニー幹部は「テレビは井深大氏と盛田昭夫氏の創業者が手掛け、トリニトロンで世界に躍進した。映画分野や放送機器ともつながっており、パソコンとは重要度が全く違う」と説明する。

ソニーは「スマホ」「ゲーム」「画像センサー」を成長の3本柱に位置付ける。それぞれ全額出資子会社で手掛けており、これにならってテレビも小回りのきく体制に移行。人員を減らしたうえで、業績に連動する賃金制度を導入するなどで固定費の圧縮を狙う。平井社長は「売却計画は全くない」と述べた。

ソニーは99年にエレクトロニクス事業を中心に1万7000人の人員削減を発表して以降、ほぼ3年ごとに1万~2万人規模の削減を繰り返した。平井社長も就任直後の12年4月にさらなる1万人削減を発表。同時に1000億円規模の赤字を計上するエレクトロニクス分野の13年3月期での黒字転換を宣言した。

しかし、黒字化は達成できず「14年3月期こそ」とした今期も3年連続の赤字に陥る見通し。金融と映画・音楽部門に頼る経営状態は変わらず平井社長の責任問題が浮上しかねない状況だった。

資本市場の圧力も背中を押した。大株主とされる米ファンドのサード・ポイントは「パソコンとテレビのリストラが必要」と指摘。格付け会社のムーディーズ・ジャパンもソニーの格付けを投機的水準に引き下げた。

リストラの一方で、成長戦略の実行を急ぐ。スマホでは中国や米国市場に本格参入して2年後に販売台数を倍増させ、4割の世界シェアを握る据え置き型ゲーム機は月額課金サービスで収益をさらに高める計画。世界首位の電子部品、画像センサーもルネサスエレクトロニクスから工場買収を決め、拡大を進める。

ただスマホやゲームも競争環境は厳しい。6日の発表で今期のスマホ世界販売台数を従来の4200万台から4000万台に下方修正した。ゲーム機もスマホとの競合が本格化する懸念がある。

消費者向けの端末事業はレノボ・グループなど中国勢の台頭が著しく、価格競争も激しい。スマホを世に送り出し強力なブランド力を持つ米アップルもシェアをじりじりと落としている。エレクトロニクス分野再生への道は険しい。

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