2019年8月26日(月)

室町時代より前、日本に「梅雨」はなかった?

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2014/5/14 6:30
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 街路樹の若葉がまぶしい新緑の季節がやってきた。心地よい五月晴れの休日にはハイキングにでも出かけたい、と言いたいところ。しかし「五月晴れ」はもともと、初夏の晴れ渡った空ではなく梅雨(つゆ)の短い晴れ間を指す言葉だったらしい。梅雨は例年6月前後の曇りや雨の多い期間を意味するはずだが、なぜ「梅雨晴れ」でなく「五月晴れ」なのか。調べていくと、「梅雨」という言葉の意外な歴史的経緯が見えてきた。

「五月晴れ」はもともと梅雨の晴れ間

「五月晴れ」はもともとは梅雨の晴れ間を指す言葉だった

「五月晴れ」はもともとは梅雨の晴れ間を指す言葉だった

五月晴れについて、「新日本大歳時記」(講談社)には「もともとは、さみだれ、すなわち梅雨の晴れ間のことをいう」「現在は陽暦五月の風さわやかな空のことをいうようになった」とある。

国語辞典をいくつか引いてみても、梅雨の晴れ間という意味と5月の晴れ渡った空という意味の両方を載せている。五月晴れは2つの意味が広く認められているようだ。

2通りの意味を持つようになった大きな理由が、明治時代に行われた改暦だ。日本では、江戸時代までは「太陰太陽暦」という月の満ち欠けと太陽の周期の両方にあわせて作った暦が使われていたが、明治維新後、西洋の列強国と同じ「太陽暦」を使う必要に迫られ、旧暦の明治5年(1872年)12月3日を新暦の明治6年1月1日とする改暦をした。そのため、5月の指す時期が約1カ月前にずれてしまったというわけだ。

日本は四季でなく「五季」?

気象情報サービスのウェザーニューズが携帯電話サイトの会員を対象に2010年に実施した「梅雨の季節感調査」(有効回答9172人)では、「梅雨は季節の一つだと思いますか」との質問に対し「すごく思う」が68%、「少し思う」が29%と、合わせて97%が梅雨を一つの季節として認識しているとの結果が出た。日本人には「梅雨」という時期が春夏秋冬のどれにも当てはまらない特別な季節として感覚的に受け止められているといえる。極端に言えば、日本の季節は四季ではなく「五季」である、といったところだろうか。

ただ梅雨が初夏の雨期を表す言葉として一般に使われるようになったのは、実は室町時代ごろからのこと。それ以前は「長雨(ながめ)」などと言っていたようだ。しかもこれは単に長く降り続く雨という意味であって、季節を限定した言い方ではない。シーズンとしての梅雨を表すことばがなかったため、その月(5月)であるサツキとしか言いようがなかったということらしい。

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