ギリシャ、国民投票見送り 包括支援受け入れへ

2011/11/5付
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ギリシャが欧州連合(EU)などからの包括的な支援策を受け入れる見通しになった。野党が容認に転じたためで、パパンドレウ首相が宣言した国民投票は見送る。同国への金融支援へ前進。債務不履行など深刻な危機の可能性はひとまず遠のいた半面、政治情勢はなお流動的だ。イタリアなどの信用不安も根強く、南仏カンヌでは20カ国・地域(G20)首脳会議が4日、欧州問題への対処を柱とする共同宣言を採択した。

【アテネ=古谷茂久】ギリシャ政府は4日、包括策の是非を問う国民投票を中止すると発表した。緊縮財政を伴う包括策に反発していた野党が、柔軟姿勢に転じたことが背景。金融支援の凍結もちらつかせて財政再建の実行を迫った独仏首脳などの圧力も影響したとみられる。

一方、ギリシャの政治情勢は混迷を深めている。4日深夜(日本時間5日朝)にはパパンドレウ内閣の信任投票が実施される見通し。不信任となれば、欧州の債務問題の先行きに市場の不安が再燃する可能性もある。救国などを理由に、与野党の大連立内閣を模索する動きも本格化している。

財政再建に前向きで首相との対立が目立ったベニゼロス財務相は4日、ドイツやフランスなどに国民投票の中止を伝えた。年金削減や増税などの緊縮策を前提にした包括策に対するギリシャ国民の反発は根強く、投票で否決されれば同国の債務不履行などを通じて国際経済の大混乱を招くと危ぶまれていた。

投票中止の背景には、強硬姿勢を続けてきた野党の変化がある。地元報道によると、最大野党である新民主主義党(ND)のサマラス党首は「緊縮策は受け入れられるだろう」などと発言。パパンドレウ首相は野党側の協力が得られると判断し、10月末に突然宣言した国民投票の実施を取り下げたとみられる。

否決のリスクが膨らんでいた投票は回避され、EUや国際通貨基金(IMF)による支援体制の強化へ状況は改善した。ギリシャに対する80億ユーロの次回融資が固まる。

次の焦点は内閣の信任投票だ。4日の予定で、野党は反対票を投じる構え。全300議席のうち与党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の議席数は152にとどまる。棄権を公言する与党議員もおり、可決されるかどうかは微妙だ。否決すれば首相が退任し、大統領の関与で解散・総選挙に至る公算が大きい。

次の政権は包括策が求める財政再建を着実に進める役割を担うが、実行には不安もくすぶる。与野党党首以外の第三の候補を首相に据える大連立を探る動きも水面下では活発になっている。

ギリシャは金融支援で資金繰りがいったん安定しても、選挙などで政治的な空白が長引くようなら財政再建が滞り、市場での信用が再び急落する恐れもある。スペイン、イタリアなど債務が多い南欧諸国への波及も改めて懸念される。

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