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「手倉森ジャパン」、リオ五輪の成否は初戦にあり

サッカージャーナリスト 大住良之

4月14日に行われたリオデジャネイロ五輪のサッカーの抽選会(マラカナン・スタジアム)で各国の組分けが決まった。日本はB組に入り、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと対戦する。そしてこのグループを2位以内で突破すると、準々決勝ではA組(ブラジル、南アフリカ、イラク、デンマーク)の1位あるいは2位と対戦する。

日本は欧州、アフリカ大陸王者と同組

過去5大会の成績と今大会予選の成績(アジアサッカー連盟 U-23=23歳以下=選手権優勝)により、日本はブラジル、アルゼンチン、そして前回優勝のメキシコとともに「第1シード」に入った。これらの国と同組になるのを避けられたのはよかったが、だからといって楽になったわけではない。

B組は、アジア予選優勝の日本とともに、アフリカ予選優勝のナイジェリア、そして欧州予選優勝のスウェーデンと、「大陸チャンピオン」が3つもはいってしまった。「死の組」と言ってもいいほどなのだ。

ナイジェリアは出場7回目。アフリカ勢で最多記録であるとともに、1996年(アトランタ)に金メダル、2008年(北京)には銀メダルを獲得している。日本はこの両大会で同グループとなり、1996年には0-2、2008年には1-2(日本の得点は豊田陽平)といずれも敗れている。圧倒的なフィジカルに高い技術を加え、今回も優勝を争う力をもっている。

アフリカ予選ではチュニジアのスファクス所属のFWアジャイーとポルトガル2部のフェイレンセ所属のFWオゲネカロが攻撃をリードし、準決勝でセネガルに1-0、決勝ではアルジェリアを2-1で下した。

スウェーデンは出場10回目。第2次世界大戦直後の1948年(ロンドン)で金メダルを獲得したが、92年(バルセロナ)以来24年ぶりの出場となる。日本は36年(ベルリン)の1回戦でこのスウェーデンと当たり、前半の0-2から後半に3点を連取して大逆転勝利を収めた(得点は川本泰三、右近徳太郎、松永行)。「ベルリンの奇跡」と呼ばれる歴史的な試合だ。

スウェーデンは堅守からカウンター

欧州予選では初戦でイタリアに2-1で勝ったことが大きくものをいった。イングランドに0-1で敗れ、ポルトガルにも0-1でリードされて苦しんだが、89分に同点とし、2位で準決勝に進んだ。準決勝では堅守からカウンターというスタイルを生かしてデンマークに4-1の勝利。決勝戦では再びポルトガルと対戦し、粘り強い守備で0-0からPK戦(4-3)で優勝を飾った。エースはA代表でも活躍するFWテリン(フランスのボルドー所属)。

そしてコロンビアは出場5回目。スウェーデンと同様、92年(バルセロナ)以来24年ぶりの出場である。2014年ワールドカップでの対戦(1-4)は記憶に新しいが、オリンピックでの日本との対戦は初めてのこととなる。

南米予選では6チームによる総当たり戦を2勝3分けの無敗だったがアルゼンチン(4勝1分け)に次ぎ2位に終わり、北中米カリブ海3位のアメリカとのプレーオフに臨んだ。ことし3月25日、ホームのバランキヤでの初戦は1-1の引き分け。4日後、テキサスでの第2戦では、アルゼンチンのラシンに所属するFWロジャー・マルチネスが前後半に1点ずつ決め、2-1で勝って「リオ2016」への最後の一座を勝ち取った。

日本代表の主要会場は赤道直下の町のマナウス。8月の平均湿度は70%を大きく超え、猛烈な蒸し暑さだ=共同

主要会場は蒸し暑い赤道直下の町

日本がはいったB組の主要会場はブラジル北部、アマゾン川中流のマナウス。赤道直下(南緯3度)の町で、8月の平均最高気温は32.7度、平均最低気温23度、平均湿度77%。猛烈な蒸し暑さに襲われる。

オリンピックの総合開会式の前日、8月4日(木)の現地時間18時にスウェーデン―コロンビア、同21時にナイジェリア―日本、7日(日)の同18時にスウェーデン―ナイジェリア、同21時に日本―コロンビアが行われる。マナウスはリオとは1時間、日本とは13時間の時差があり、日本の試合は日本時間ではともに翌日の朝の10時キックオフとなる。

そして8月10日(水)1次リーグの最終戦、日本はブラジル北東部のサルバドルでスウェーデンと対戦する(キックオフ19時=日本時間11日午前7時)。

準々決勝は8月13日(土)。1位ならサルバドルに居残り、A組2位と対戦(16時=日本時間14日午前4時)する。2位になるとサンパウロでA組1位との対戦(22時=日本時間14日午前10時)となる。

マナウスだけでなくサルバドルも気温が高い。14年のワールドカップで、日本代表はやはり高温多湿のレシフェ、ナタル、クイアバで試合をしたが、最高のパフォーマンスを出すことができなかった。その経験を生かし、初戦に照準を合わせたコンディション調整が必要となる。

選手登録は18人、たやすくない選考

ワールドカップでは、1次リーグでも試合間隔が中4日、中5日になるが、オリンピックでは中2日と短い。大会が始まると、またたく間に3試合が終わってしまうということになる。言うまでもないが、初戦が非常に大事だ。8月4日のナイジェリア戦(現地時間)にトップフォームにもっていくことができるか、そこに今大会の成否がかかっていると言っても過言ではない。

近年、国際サッカー連盟(FIFA)の大会では23人の選手登録ができるが、オリンピックではわずか18人。U-23日本代表の手倉森誠監督にとって、選手選考はたやすい仕事ではないだろう。

幸いなことに、1月のアジア予選を非常に良い形で戦い抜き、6戦全勝という結果を残したことで、チームの「骨格」のようなものは見えている。

このチームの強さは守備の固さと攻撃陣の多彩さにある。守備面では、日本サッカー史上最強のストッパーになりつつある植田直通(鹿島)の成長が著しく、守備ラインを助けるボランチ遠藤航(浦和)のレベルも高い。ケガでアジア予選に出られなかったGK中村航輔が柏でめざましい活躍をしていることも大きな材料だ。

五輪での選手登録は18人。手倉森監督の選考はたやすい仕事ではない=共同

攻撃については、「アジア予選のサッカーとは重点を変える」と、手倉森監督は方針を明かしている。アジア予選では、鈴木武蔵(新潟)、オナイウ阿道(千葉)といったフィジカルの強いFWを置いてターゲットに使ったが、世界の強豪と戦うオリンピックではより足元のパスを多用する速い攻撃にするというのだ。

様々なポジションこなす選手必要

中島翔哉(FC東京)、南野拓実(ザルツブルク)、久保裕也(ヤングボーイズ)、浅野拓磨(広島)というタレントは、十分そのサッカーを表現する力はある。

しかし18人しか連れていけないオリンピックでは、いろいろなポジションをこなす選手が必要だ。左右両サイドをこなすサイドバック(亀川諒史=福岡=が好例)、ボランチとセンターバックをこなす選手(遠藤ら)……。そこに「オーバーエージ」を3人使うこともできる。

オリンピックに向け、U-23(23歳以下)日本代表は5月11日(水)に鳥栖でガーナ代表と対戦した後、5月18日から29日のトゥーロン国際大会(フランス)に出場する。このあたりで、メンバーも絞られてくるだろう。

まずは初戦、そして1次リーグ突破、さらに上位へ……。ひとつずつ積み上げるのが、アジア予選でも、リオの舞台でも、「手倉森ジャパン」の変わらぬスタイルだ。

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