2019年2月16日(土)

地震で重文倒壊相次ぐ 熊本城、「築浅」にも迫る危機

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2016/4/19 6:30
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日経コンストラクション

2016年4月14日の前震、16日の本震など、熊本地震による激しい揺れが続く熊本県内では、文化財建造物の被害も甚大だ。日本三名城の一つで県を代表する観光地の熊本城では、国の重要文化財(重文)に指定されている13件の建造物の半数近くが倒壊した。同城を特徴づける壮大な石垣もあちこちで崩壊し、その影響で戦後に復元された建造物にも傾きやたわみが生じている。

熊本城に残る重文の建造物は、安土桃山時代から江戸時代にかけて築かれた11棟の櫓(やぐら)、1棟の櫓門、1カ所の塀だ。最初に大きな被害を受けたのは「長塀」で、14日の前震の際に東半分が約100mにわたって倒壊した。さらに本震後の16日正午現在では、「東十八間櫓」、「北十八間櫓」、「五間櫓」と櫓門の「不開門(あかずのもん)」が倒壊。現存する最大の建造物である「宇土櫓」でも続櫓(つづきやぐら)の部分が壊れた。

倒壊した東十八間櫓の部材は、基礎の石垣とともに隣接する熊本大神宮の境内に落下して社殿を損壊させた。

熊本城内北東部の惨状。「東十八間櫓」は倒壊後に部材が熊本大神宮(左下)の上に落下した。その右のL字形をした「北十八間櫓」と「五間櫓」も倒壊。いずれも安土桃山時代から江戸時代にかけての遺構で、国の重要文化財に指定されている櫓だ。4月16日撮影(写真:国際航業・パスコ)

熊本城内北東部の惨状。「東十八間櫓」は倒壊後に部材が熊本大神宮(左下)の上に落下した。その右のL字形をした「北十八間櫓」と「五間櫓」も倒壊。いずれも安土桃山時代から江戸時代にかけての遺構で、国の重要文化財に指定されている櫓だ。4月16日撮影(写真:国際航業・パスコ)

倒壊した東十八間櫓の部材で被害を受けた熊本大神宮の社殿。4月16日撮影(写真:日経アーキテクチュア)

倒壊した東十八間櫓の部材で被害を受けた熊本大神宮の社殿。4月16日撮影(写真:日経アーキテクチュア)

倒壊した北十八間櫓。4月16日撮影(写真:日経アーキテクチュア)

倒壊した北十八間櫓。4月16日撮影(写真:日経アーキテクチュア)


倒壊を免れた重文の櫓でも、外壁の漆喰(しっくい)が剥離している。

■大天守の被害が拡大

熊本城の本丸では宇土櫓の続櫓が倒壊したほか、1960年に鉄筋コンクリート(RC)造で復元された大小の天守の被害も拡大している。なかでも大天守は最上層の屋根が茶色に見えるほど瓦の落下が進んだうえに、天守台の石垣の一部が崩壊した影響で小天守側に傾斜しているという。

本丸では国指定の重文である「宇土櫓」の続櫓(右上)が倒壊。1960年に完成した鉄筋コンクリート造の大天守(左端)の被害も拡大している。4月16日撮影(写真:国際航業・パスコ)

本丸では国指定の重文である「宇土櫓」の続櫓(右上)が倒壊。1960年に完成した鉄筋コンクリート造の大天守(左端)の被害も拡大している。4月16日撮影(写真:国際航業・パスコ)

天守が復元された当時の建築基準法の耐震基準は、現行の基準に比べると強度が低い。熊本市の熊本城総合事務所によると、市は天守の耐震改修を検討していたが、未着手の状態で今回の地震に遭った。内部の柱や梁など、被災状況の詳細は今後の調査を待つことになる。

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