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iPhone「有機EL」転換 専門家が見る鴻海の市場機会
中根康夫 みずほ証券 エクイティ調査部 シニアアナリスト

(1/2ページ)
2016/4/25 6:30
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日経テクノロジーオンライン

 スマートフォン向けの中小型ディスプレーパネル業界に大きな転機が訪れようとしている。米Apple(アップル)がiPhone用ディスプレーを、現在の液晶パネルから有機ELパネル(AMOLED)に切り替える計画を立てていると見られるからだ。この転換は、パネル業界の勢力図を大きく変える可能性がある。有機ELで先行する韓国勢に、ジャパンディスプレイや鴻海・シャープ連合は追いつけるのか。業界動向に詳しいみずほ証券エクイティ調査部グロ-バル・ヘッド・オブ・テクノロジー・リサ一チ、シニアアナリストの中根康夫氏に解説してもらう。

ジャパンディスプレイが試作した有機ELの曲面パネル
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ジャパンディスプレイが試作した有機ELの曲面パネル

 iPhoneのディスプレーは、現在のLTPS(低温ポリシリコン)液晶から早ければ2017年、遅くとも2018年からは徐々に有機ELパネルに切り替わっていく可能性が高いとみずほ証券は見ている。2017年に登場する機種は曲面形状やフレキシブルなディスプレーではなく、ポリイミド(PI)基板を使ったフラットな形状の“Unbreakable(割れない)”ディスプレーになる公算が高い。

 供給者となるパネルメーカーにとって重要なポイントは大きく3つある。第1に技術力(第6世代(G6)の LTPS、フレキシブル基板、G6 2分割の蒸着など多岐にわたる)と必要なIP(知的財産)、第2に財務面や収益性からみた投資余力、第3に必要な製造装置を確保しているかどうか、である。

 その意味で、先行しているのは韓国Samsung Display(サムスンディスプレイ)だ。A2(G5.5)工場およびA3(G6)工場で既にフレキシブル有機ELパネルの量産実績を持ち、IPや投資余力にも問題がなさそうだ。先手を打ち、2018年上期までにA3工場を最大18万枚/月(5.5型換算で年間4億2000万枚程度)へ拡張する可能性がある。このうちiPhone向けに充当するのは、6万~9万枚/月だろう。

 現在、需給が非常にひっ迫している露光装置やイオン注入装置、蒸着装置を同社は少なくとも9万枚/月分は既に押さえていると見られる。準備は万端であり、あとは数量や価格保証といったApple(アップル)との取引条件のみだ。

■ジャパンディスプレイにシェア低下懸念

 韓国LG Display(LGディスプレイ)は、Kumi(亀尾)のE5工場にG6ラインを設置する。ただし、生産能力は1万5000枚/月にとどまり、蒸着装置については実績がまだない韓国メーカー製を採用すると当社は見ている。

 同社はG6サイズのLTPSの量産については十分な経験を持つものの、G6のフレキシブル基板や2分割蒸着に初めて取り組む。大規模な量産には韓国・坡州(パジュ)のE6工場(4万5000枚/月程度)への投資を待たなければならず、これは早くても2017年後半になるだろう。資金的な問題はないものの、iPhoneへの大量供給体制を構築できるのは早くても2018年後半になりそうだ。

 ジャパンディスプレイは韓国の2社と異なり、有機ELパネルの量産実績はなく、まだ研究開発段階である。現在は石川のG4.5工場で4000枚/月程度の生産能力を持つが、白色有機ELからRGB蒸着(塗り分け)に転換する段階にある。試作ラインは石川ではなく、フレキシブルディスプレーを開発している茂原工場に設置する可能性が高い。投資額は300億~400億円は必要と見られ、稼働は早くても2017年第1四半期になるだろう。

 その後にようやく、量産ラインへの投資が可能となる。量産ラインは茂原工場の拡張なら1万5000~2万枚/月、白山(D3)工場を使えば2万5000枚/月程度の投資が可能になる。ただし、いずれの場合もSamsung DisplayやLG Displayと比べると小規模と言わざるを得ず、iPhone向けパネルのシェアは低下するリスクがある。

 一方、LTPSの技術力や生産能力、エンジニアリングリソースの点ではジャパンディスプレイは卓越しており、Appleにとって欠かせないサプライヤーといえる。自己資金での投資余力が大きくない同社が、Appleやその他の企業からどの程度資金的なサポートを得られるかも注目点だ。

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