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錦織、クレーコート大会へ 鍵は集中力とサーブ

男子テニスの世界ランキング6位、錦織圭(日清食品)がキャリア最高の内容で今季序盤のハードコートでの大会を終えた。同5位のラファエル・ナダル(スペイン)までポイント差は465。昨季、大きく飛躍した錦織のクレーコートでの大会は3連覇がかかるバルセロナ・オープン(18日開幕)でスタートを切る。

「インディアンウェルズで大きな進歩」

今季序盤のハードコートでの大会はキャリア最高の内容だった=共同

錦織は今季初戦である1月のブリスベン国際(オーストラリア)からマイアミ・オープン(米国、3月23日~4月3日)までに1回ずつ優勝、準優勝を飾り、1480ポイントを稼いだ。昨季も同じ大会に出場して優勝と準優勝が1回ずつだったが、稼いだのは1270ポイントだった。昨季準優勝した大会で今季は2回戦負けするなど戦績が劣るケースが複数あった。それでも、四大大会(優勝ポイント2000)に次ぐ格付けにあるマスターズ・シリーズ(同1000)のBNPパリバ・オープン(3月10~20日)でベスト8、マイアミ・オープンでは準優勝と自己最高の成績を収めたのが大きかった。

「(練習拠点にしている)米国で行われて、他の大会に比べて気分良く臨めるインディアンウェルズ(BNPパリバ・オープン)とマイアミは僕にとって重要な試合。特に昨年までいい成績を残せなかったインディアンウェルズでは大きな進歩だったと思う」と錦織。インディアンウェルズは高級リゾート地で、ツアーで最も雰囲気がいいといわれる大会だ。ただ標高が高く、砂漠に作られたオアシスのような場所で空気が乾燥している。このためボールがよく跳ね、錦織は適応する前に敗れてしまうことが多かった。今年の準々決勝で負けたのは、ここを得意にするラファエル・ナダル(スペイン)だった。

海にちょこんと飛び出た島状の地形に会場があるマイアミは海風が強く、錦織が拠点を置くフロリダ州ブラデントンと似ている。錦織が好きな大会の一つだ。マスターズ・シリーズで初めて4強入りしたのが2年前のこの大会だったが、故障して準決勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア)戦は棄権した。今年のマイアミは気温が連日30度近くまで上がり、日差しは強くて湿度も高く、日中の試合では意識がもうろうとしている選手が目立った。錦織は準決勝まで夜間に行われる試合がなく、かなり過酷な条件だった。

体力強化、コーチとの厳しい練習で

錦織は「それほど体に痛みや筋肉痛が出ることもなかった。体力は大丈夫だった」と振り返った。初めてマスターズ・シリーズで決勝に進んだ2014年マドリード・オープンでも決勝はけがのため途中棄権した。当時に比べれば、かなり体は強くなってきた。故障しなくなってきたのはマイケル・チャン・コーチの指導を受けて3年目の成果だろう。当初はそれまで経験したことのない厳しい練習に音をあげたことがよくあったという。「(当時は精神的に)まだ子供だった。今は厳しいことに意味があるのを理解し始めた。このオフも厳しかったけれど、レベルアップできていると思う」

3月上旬の国別対抗戦、デ杯ワールドグループ(WG)1回戦で当たった英国戦(デ杯は5セットマッチ)。錦織は世界ランク2位のアンディ・マリーにフルセットの末、敗れた。2セットを簡単に先取されたことが響いた。BNPパリバ・オープン準々決勝のナダル戦では、押し気味に試合を進めていた。だが、第1セット途中にナダルがラリーを止め、審判の判定に異を唱え「チャレンジ(ビデオ判定)」を要求して成功すると、錦織はその後ミスが増えて自滅にもみえる形で敗れた。

ジョコビッチ戦、何もできず完敗

マイアミ・オープン決勝ではジョコビッチ(右)に敗れて初優勝を逃した=共同

マイアミ・オープンの準々決勝は、身体能力が高い第16シードのガエル・モンフィス(フランス)を相手に、マッチポイントを5回もはね返して2時間29分の熱戦を制した。午後の一番暑い時間帯に始まり、死力を振り絞って最後は互いにふらふらの状態だった。翌日の準決勝では伸び盛りの20歳、ニック・キリオス(オーストラリア)をストレートで退けた。決勝のジョコビッチ戦もプレー自体は悪くなかった。「作戦はあったけれど、それをさせてもらえなかった」と振り返ったように、相手が強すぎた。ジョコビッチは大会の前半では力をセーブしながら戦うためか苦戦することもある。一方、後半で戦うトップ10の選手に対する勝率は過去1年間で9割近い結果を残しており、世界ランク2位のマリーの勝率(5割超)を大きく引き離している。

錦織は戦術の引き出しが豊富で、試合中に新しいアイデアを次々と繰り出せる選手だ。ただし、鍵を握っているのは集中力とサーブだろう。錦織のサーブはストロークに比べてやや自信がないからか、調子が悪いとプレー全体に勢いがなくなることがある。てこずった試合の後には必ずといっていいほど、「サーブがよくなかった」というコメントを発する。

取りこぼしなくし、爆発力も必要

この先は5月22日に開幕する全仏オープンまでクレーコートの大会が続く。クレーでは球足が遅く、ラリーが続くため体力を消耗する一方で、ビッグサーバーの利点は減って、錦織らリターンやストロークの巧者に利点が出てくる。「クレーではいいプレーができている。すごく楽しみにしている」と話す錦織がもう一段レベルを上げるには、格下の選手との対戦で取りこぼしをなくし、王者ジョコビッチや四大大会最多17度の優勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス)ら格上と当たる準々決勝まで安定して勝ち進むことが求められる。さらに爆発力を発揮し、上位シードの「大物」を破る戦いができるかどうかがポイントになる。

(原真子)

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