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選手もファンも納得 正しい五輪代表選考のあり方
編集委員 北川和徳

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2016/4/1 6:30
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今年夏のリオデジャネイロ五輪に向けて日本の代表選手がこれから続々と決まる。4年に1度の大舞台に立つ五輪代表の選考を巡っては、マラソンをはじめとする様々な競技で、誰を選ぶべきか、どんな基準で選ぶのか、などの議論が巻き起こる。団体球技は原則としてチームづくりをする監督の裁量という考え方が定着してきたが、個人種目は時に不満を持つ選手側と競技団体の紛争に発展することもある。選考過程の透明化を目指して柔道は選考会を兼ねた4月の国内3大会のそれぞれ終了後の強化委員会(選考会議)を報道陣に公開することを決めた。アスリートもスポーツファンもみんなが納得し、かつ五輪での好成績にもつながる代表選考のあり方について考えてみたい。

記者会見でリオ五輪のマラソン代表を発表する日本陸連の尾県貢専務理事(中央)ら=共同

記者会見でリオ五輪のマラソン代表を発表する日本陸連の尾県貢専務理事(中央)ら=共同

実績重視、五輪への道ルール化

全日本柔道連盟の強化委員長も兼務する山下泰裕副会長と2カ月ほど前、代表選考について話題にする機会があった。「やっぱり選考会で勝った選手が五輪に行くべきです。負けたのに過去の実績で代表に選ばれるのはおかしいと思う」と話を向けると、こう返された。「柔道では国内で勝つのと国際大会で勝つのはまったく意味が違います。日本人同士でいくら強くても、五輪で勝つ可能性が高いとはいえません」。

五輪での対戦相手はすべて外国人選手。金メダル獲得の可能性を少しでも高くするなら、国内の選考会よりも国際大会での実績を考慮するのは仕方がないのかもしれない。それでもやっぱり思ってしまう。「選考会で勝ったのに五輪に出られなかったら、当人はとても納得できないだろうな」。日本のスポーツ界では学閥や企業閥などの人間関係がしばしば幅をきかすケースを見てきたからなおさらだ。

ただ、今では多くの競技でそうしたジレンマは解消されつつある。各国際競技団体(IF)が実績重視にかじを切り、五輪への道がルール化されてきたからだ。国内での選考会など必要ないこともある。柔道は前回のロンドン五輪以降、国際大会による世界ランキングで男子22位、女子14位以内が五輪出場の最初の条件となった。ランク下位の選手は最初から五輪出場のチャンスがない。選考会の実施や選考会議での議論が必要となるのは、2人以上の日本人選手が条件を満たしている場合だけとなる。

柔道、選考会議の公開は英断

さすがに日本の柔道はレベルが高く、現時点で男女計14の全階級のうちほとんどでこの条件を満たす選手が2人以上いる。個人的には有資格者が選考会で優勝した場合、自動的に代表に選ぶのが筋だと思うが、金メダルの可能性を考えればライバルとなる外国人選手との過去の対戦成績なども考慮する必要があるだろう。有資格者が選考会でそろって敗退するなど、すんなり選べないケースも出てくる。だからこその選考会議の公開は、英断だと思う。山下副会長は柔道に限らず多くのアスリートの意見を聞いた上で、「透明性を高めることが選手のためになる」と判断したという。

世界ランクを決める国際大会への代表選考から、五輪出場権をめぐる争いが始まっているわけだ。柔道は昨年の世界選手権の代表を決めた強化委員会も公開した。ファンやメディアの関心が高まる五輪の直前だけでなく、常に選考の過程や理由を分かりやすく開示する姿勢があらゆる競技で求められる。

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