2019年8月21日(水)

チャレンジ!パラスポーツ最前線

フォローする

東京マラソン車いす部門、デッドヒート呼んだ国際化

(1/3ページ)
2016/3/26 6:30
保存
共有
印刷
その他

2月28日に行われた第10回東京マラソン(東京都庁前―東京ビッグサイトの42.195キロ)の車いす男子の部は、最後の最後までデッドヒートが続く展開となった。日本選手にはリオデジャネイロ・パラリンピック車いすマラソンの選考レースとなったことに加え、今回からレースが国際化されて海外の有力選手が参加、レベルがあがったことが大きい。レース展開を振り返り、車いすマラソン特有の勝負のポイントを検証してみたい。

上り下りで選手個々の特徴現れる

日本人トップの3位でゴールした洞ノ上

日本人トップの3位でゴールした洞ノ上

使う車いすは、「レーサー」と呼ばれる前輪1つ後輪2つの、象が鼻を伸ばしたような形状のもの。自転車競技と同じで、先頭に立つよりも、その後ろについて風をよけながらこぐと6~7割の力でついていける。自動車レースのスリップストリームにも似る。ゆえに、車いすマラソンでは集団が1列になって走る姿がしばしば見られる。先頭に立つ選手は疲れると後ろに下がり、また別の選手が前に出て集団を引っ張る形のローテーションも頻繁に行われる。

逆にいえば、この集団から少しでも離れてしまうと、風よけがなく自力で追いつかねばならなくなる。ゆえに、先頭の選手は常に仕掛けどころを心得ていて、一瞬のすきをついて後続の選手を「ちぎる」ことを狙う。仕掛けるのは健常者のマラソンと同じようにまずは坂道の上り下り。車いすの場合、体重が重い選手は上りはきついが、下りは加速度がついて速いことが多い。体重の軽い選手はその逆。そんな選手個々の特徴が上り下りでの駆け引きに現れる。

さらに折り返し地点や交差点でのカーブも仕掛けどころとなる。車いすには前輪と後輪をつなぐフレームの上に三角形やY字型のハンドルがついている。小さなカーブなら体重移動だけで前輪の方向を変えられてハンドル操作は必要ないが、大きなカーブになると、ハンドルで前輪の方向を変える。ハンドルを握れば、当然車輪をこぐことはできない。つまり大きなカーブを曲がる時はこがずに巡航体勢になる。カーブの出口でハンドルを真っすぐに戻してこぎ出すが、カーブに早く入った選手ほど早くこぎ出すことができるわけで、このタッチの差で開いた距離をさらに広げて、先頭は後続をちぎろうとする。健常者のマラソンにはない戦術だろう。

今回の東京マラソンに集まった有力選手は、日本からはまず、招待選手を集めるレースディレクターも務めた副島正純(45、ソシオSOEJIMA)。2012年ロンドン大会までパラリンピック3回連続出場で、ロンドンでは車いすマラソン日本人最高の4位という第一人者。東京マラソンも過去5回優勝している。洞ノ上浩太(41、ヤフー)は08年北京パラで5位、ロンドンで6位、昨年の東京マラソンで初優勝した。西田宗城(32、バカラパシフィック)は昨年、タイムを伸ばした成長株。同10月の大阪マラソンではコースレコードで2連覇を飾った。鈴木朋樹(21、城西国際大)はパラ陸上界期待の若手の星だ。中距離が主戦場で「マラソンは遊び」といいながらも、昨年の東京では初マラソンながら2位に入っている。

海外からは昨年のニューヨークシティマラソン覇者で、北京パラ銅メダルのエルンスト・バンダイク(42、南アフリカ)が参加。大柄な体から繰り出すパワーと下りのスピードは世界トップ級だ。そして昨年のシカゴマラソン優勝、04年アテネパラ金メダルのクート・フェンリー(35、オーストラリア)。腕のリーチが長く、ひとこぎひとこぎがパワフルで、上りが得意だ。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

五輪関連コラム

障害者スポーツコラム

電子版トップスポーツトップ

チャレンジ!パラスポーツ最前線 一覧

フォローする
MWCCで初優勝を果たした男子日本代表

 車いすバスケットボール男子日本代表が6月8~10日に武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布)で行われた国際大会「三菱電機ワールドチャレンジカップ(MWCC)」で初優勝を果たした。2016年リオデジ …続き (2018/6/19)

合宿で練習する日本代表。日本でアイススレッジホッケーの灯を絶やさないためにも、平昌パラ出場は絶対条件だろう

 28日から北海道苫小牧市の白鳥王子アイスアリーナで、2018年平昌パラリンピック最終予選の出場権をかけたアイススレッジホッケーの世界選手権Bプール(2部に相当)が開催される。
 10年バンクーバー・パ …続き (2016/11/24)

女子で16連覇しているオランダの牙城を崩すには上地の活躍が欠かせない

 車いすテニスの国別対抗戦ワールドチームカップが23日から28日まで、東京都江東区の有明コロシアムと有明テニスの森公園で行われる。健常者テニスの国別対抗戦であるデビスカップ(男子)やフェドカップ(女子 …続き (2016/5/21)

ハイライト・スポーツ

[PR]

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。