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イチローのバット、再び黒に 背景にアオダモ消滅
スポーツライター 丹羽政善

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2016/3/21 6:30
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昨年のキャンプ初日のこと。イチローはグラブ、バットの色を変え、スパイクにいたってはメーカーまで新しくなっていた。

「分かりやすく気持ちを変えられるテクニックではありますからね」。マーリンズ1年目のイチローはあのときそう言ったが、バットの色が黒から白に変わると同時に、材質も硬いがしなやかで弾力性がある北海道産のアオダモから、反発力の強い北米産ホワイトアッシュに変わっていた。今年、再びバットの色が白から黒に戻った。するとイチローはこう説明している。

「去年使ってたのはアッシュなんですよ。タモがないんでね。アッシュって弱いから、欠けるのが早い。白いとそれが見えないんです。黒の方が欠けたことがより分かりやすい」

アッシュからアオダモ、またアッシュ

イチローは、ホワイトアッシュの特性にも触れたが、ここでは「タモがないんでね」がキーワード。以前アッシュを使っていたときとは、状況が異なるのだ。

「実は、2001年にもアッシュを使ってたんですよ」とイチロー。01年のメジャー挑戦を機にアオダモからホワイトアッシュに代えた。米国の気候などを考えたとき大リーガーの大半が使うホワイトアッシュの方が適しているのでは、という考えがあったと聞く。そのメジャー1年目。イチローはホワイトアッシュのバットで242安打という新人シーズン最多安打記録を打ち立て、新人王、ア・リーグ最優秀選手(MVP)を同時受賞するなど、そうそうたる活躍だった。

ただ、2年目、正確には2年目の夏場からアオダモに戻したという。長谷川晶一氏の著書「イチローのバットがなくなる日」に、そのエピソードが書かれている。実はイチローのバットを手がけてきたバット職人の久保田五十一さんが、イチローになぜ変えたのか聞いたのだという。するとこう答えた。

「その理由をお尋ねしてみますと、2年目の夏場に調子を崩されたときに、慣れ親しんだアオダモに戻したら非常にフィーリングがよかったということでした。それからは、ずっとアオダモを使われています」

その後イチローは、アオダモを使い続けた。04年に大リーグシーズン最多安打を記録したときもアオダモだった。ところが………。

先月聞いたときには「全然、(アオダモが)ない」とイチロー。それは安定供給できないという意味かと質問をかぶせれば、「いや、安定ではなく、ないんですよ」と強調した。先ほどの長谷川氏の本のタイトルは「イチローのバットがなくなる日」。10年12月に発売され、数年先にはそういう状況になることを多くの関係者の証言をもとに指摘していたが、その日がもう来てしまったということになる。

温暖化が影響、アッシュも問題抱える

バットが作れる良質の北海道産のアオダモは、残念ながら枯渇した。結果としてイチローはホワイトアッシュに代えたわけだが、実のところ、北米産のホワイトアッシュにも、忍び寄る問題があるよう。

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