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SVホルン「オーナー」本田圭佑、安住なき攻めの経営

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2016/3/18 6:30
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オーストリアの首都ウィーンから車で1時間。幹線道路から離れた田園地帯にホルンという町がある。人口わずか6000人。ホテルは2軒だけでレストランも数えるほどしかない。ここを本拠地にするクラブが、サッカー日本代表の本田圭佑(ACミラン)が実質的なオーナーを務めるSVホルンだ。華々しさとは無縁のオーストリア3部リーグという舞台で、本田はどんな経営をしているのか。

本田の指針、「地元で新規顧客を」

スタジアムの観客席の一角。目の前のピッチで繰り広げられるプレーに合わせて、ドラムの音が響く。サポーターの手にあるのは拡声器。サッカーの応援ではごく普通の光景だが、SVホルンで見られるようになったのはつい最近。仕掛け人が本田である。

収容人数3000人とささやかな競技場だが、それでも満員札止めにはまだ遠い。今季の平均観客数は約1400人。クラブがアンケート調査をしたところ、大半は車で30分以上離れた場所からの来場者で、地元ホルンに住んでいる人は半分にも満たないことが分かった。

地元中心に新規の観客を開拓すべき――。本田は経営指針を定め、具体策も提示した。その一つが、サポーターの組織化によるスタジアムの盛り上げ。銘々が自由に応援していたサポーターにグループ化を促し、ドラムなどを提供した。クラブとの話し合いの場も月1度設け、集客のアイデアなどを話し合っている。

ビールの飲み放題、ハロウィーンなど季節ごとのイベント……。試合時にスタジアムで開く催し物も増やした。在留邦人を呼ぶため、試合日にはウィーンからバスも走らせる。まだ劇的な効果というほどではないが、「少しずつお客さんが増えている」と神田康範・最高経営責任者(CEO)兼副会長は話す。

SVホルンの経営を担う神田CEO兼副会長(左)は、「少しずつお客さんが増えている」と語る

SVホルンの経営を担う神田CEO兼副会長(左)は、「少しずつお客さんが増えている」と語る

創立1922年という老舗のクラブを本田の所属事務所「ホンダエスティーロ」が買収したのは昨年6月だった。それまでは地元のショッピングセンターを親会社に持つ、つつましい地方クラブだった。

ミズノなどが新たなスポンサー

2012年、チームは予想外の快進撃で初の2部リーグ昇格を果たす。満足な戦力を集めるだけの資金力はないとみたショッピングセンターは、新たなお金の出し手を求めた。ちょうど投資先となる欧州クラブを探していた本田側と思惑が一致した。

日本のトップ選手としては前例がない「選手兼オーナー」は、出だしからつまずいた。買収決定時に2部リーグだったチームは調子を崩し、3部への降格が決まる。

財政的にも目算が大きく狂った。リーグが各クラブに分配する数十万ユーロのテレビ放映権料は、3部リーグには渡らない。クラブの年間予算は数百万ユーロの規模だから大きな痛手だ。

2部返り咲きのために必要な戦力を維持するには、新たな収入源が必要。降格の影響で観客数の大幅増も見込めないとなれば、残るはスポンサー収入。まず、「オーナー本田」に価値を感じたミズノや寝具製造・販売の西川産業などが新たに協賛を始めた。スポンサー企業のメリットを高めるため、動画中継サイトの「ニコニコ生放送」での試合中継も開始。1試合あたり平均で1万数千人が視聴する。

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