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なでしこ復活へ技術・才能信じ、パスワークの進化を
サッカージャーナリスト 大住良之

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2016/3/14 6:30
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苦しみ抜いたサッカー女子のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選。ベトナムに6-1、北朝鮮に1-0と連勝して、日本代表「なでしこジャパン」は全5戦を終えた。最終成績は3位。佐々木則夫監督の退任が決定し、なでしこジャパンは新しい時代を迎えることになる。

佐々木監督の業績は、男子を含め世界的にみても素晴らしいものだ。ワールドカップ優勝1回、準優勝1回、五輪準優勝1回、4位1回。在任中に経験した4回の世界大会のすべてでこれだけの成績を残した監督は多くない。ちなみに、女子の五輪はワールドカップと同等、あるいはそれ以上のレベルの大会である。

サッカー女子五輪最終予選の日本は2勝1分け2敗の3位で終わり、4大会連続の五輪出場を逃した=共同

サッカー女子五輪最終予選の日本は2勝1分け2敗の3位で終わり、4大会連続の五輪出場を逃した=共同

W杯優勝以降、迷い始めた佐々木監督

2007年末に就任。前任の大橋浩司監督の下で戦った同年の女子ワールドカップ(中国)で、なでしこジャパンはグループリーグ3位だった。コーチから昇格した佐々木監督は、就任直後の08年2月に東アジア選手権(中国)で初優勝(3戦全勝)を飾った。

そして臨んだ北京五輪、ニュージーランドと2-2で引き分け、米国には0-1の敗戦。瀬戸際で迎えたノルウェー戦が、このチームの大きなジャンピングボードとなった。すでに米国に2-0、ニュージーランドにも1-0と連勝していたノルウェーを怒とうの攻撃で5-1と撃破し、準々決勝への道を切り開いたのだ。そして準々決勝では自信にあふれたサッカーで中国を2-0で下し、ベスト4に進んだ。

すなわち、佐々木監督は就任から半年余りでなでしこジャパンを世界の強豪の一角に押し上げたことになる。

その3年後、11年の女子ワールドカップ(ドイツ)では「女性版バルセロナ」と称賛されたパスワークで優勝。だがその翌年から佐々木監督の迷いが始まる。

佐々木監督の業績は世界的にみても素晴らしいものだが、11年のW杯優勝後は迷いがあった=共同

佐々木監督の業績は世界的にみても素晴らしいものだが、11年のW杯優勝後は迷いがあった=共同

対戦相手が「なでしこ対策」としてプレスを強めることを予測し、前年にはほとんど使わなかったロングパスを使うサッカーへの切り替えを決断したのだ。しかしこれによって選手間の距離が広がり、前年まで最大の武器だったパスワークの精度が一挙に落ちた。

翌13年以降は、大胆に若手を起用してはワールドカップ優勝メンバーに逆戻りするということを繰り返し、結局大半を11年のメンバーで固めて今年の五輪予選に臨むことになる。

12年のロンドン五輪、そして15年の女子ワールドカップ(カナダ)はともに準優勝。いずれの大会も最初はパスがつながらずに苦しんだが、なんとかチーム一丸の守備で持ちこたえ、大会の終盤になって本来の力の片りんを見せて勝ち上がるという繰り返しだった。だが、中1日で試合が続いた今回の五輪最終予選では、初戦で受けた打撃(オーストラリアに1-3の敗戦)から立ち直れないまま韓国と1-1、中国に1-2と勝ち点を伸ばせず、五輪出場を逃した。

「なでしこのサッカー」を信じ切れず

佐々木監督の失敗は2つある。一つは「なでしこのサッカー」、すなわちショートパスを基本とする集団でのサッカーを信じ切れなかったこと、そしてもう一つは若い選手たちの能力を信じ切れなかったことだ。

なでしこジャパンの活躍の陰であまり知られていないが、日本の女子年代別代表チームは世界的にも高い評価を得ている。

U-20(20歳以下)女子ワールドカップでは、12年大会(日本)で3位に入賞した。U-17女子ワールドカップでは、08年の第1回大会から14年の第4回大会まで4大会連続で出場を果たし、すべてベスト8以上。10年には準優勝、14年には優勝を飾っている。

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