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原発、経済と安全 隣り合わせ 物理学者・益川敏英さん

(3.11を胸に)

科学の試練

東日本大震災から5年がたつが、地震そのものは自然現象で、ある確率で起きる。どこら辺で起きるのかも分かっている。ただ破壊現象であって、何時何分といえるはずはない。完全な予知ができないのは当たり前だ。日本列島に住む限り覚悟しなければいけない。

震災前の研究者は予算獲得のため、いつどこで起きるか予測できると言い過ぎたかもしれない。研究者はこれくらいの力がかかってエネルギーがたまり、過去にこれくらいの頻度で、この程度の規模で起きていると言った方がいい。ただ最近はあまり言わなくなっている気がする。萎縮しているのではないだろうか。予測を誤っても、研究者が責任をとる必要はない。政府がこういう目的でやりましたと説明すべきだ。

復興に向けて震災学という研究が進んでいるけれど、研究者一人ひとりが個別に取り組んでいる印象がある。組織的な動きになっていない。学会などが議論して提示しなければならない。文系から理系まで幅広い研究者を集めて議論する場が欠かせない。

市民の参加も大切になる。市民と専門家、専門家の意見に反論できる人の3者が交流し、それがおかしいといえる場が必要だろう。いつでも議論しており、誰でも参加できる、そんな交流の場をつくって継続的な取り組みを続けることが大切だ。

原子力発電所については今後もだましだまし使っていかなければいけない。地下資源が今後300年でなくなるとされ、エネルギー問題を考えると、原発の研究は続けなければいけない。将来は再生可能エネルギーが主力になるとしても、まだ問題があり、補完するようなエネルギー源は必要になる。

ただ原発が安全だと言い過ぎている印象がある。震災を経験しても変わっていない。安全神話がいまだに残っている感じだ。どれくらい危険だという言い方はしない。これくらい危険だから、これくらいの備えが必要だ。それには費用がこれだけかかり、いざというときはこれくらいかぶってください、でも補償しますと言わなければいけない。経済性と安全性は隣り合わせ。社会も、そういうことを言っても了解できるような文化度が大切だ。

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