「原発危ない」米軍が一報 自衛隊統合幕僚長・河野克俊さん (3・11を胸に)
政治 真価は

2016/3/11 3:30
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想像を絶する災害だったため、10万人を超える統合任務部隊を編成した。危機対応時の指揮命令系統はシンプルがベスト。統幕副長として折木良一統幕長の補佐に徹した。

 かわの・かつとし 1977年防大卒。自衛艦隊司令官、海上幕僚長を経て2014年自衛隊トップの統合幕僚長に就く。米太平洋軍のハリス司令官ら米軍人脈は幅広い。神奈川県出身、61歳。

かわの・かつとし 1977年防大卒。自衛艦隊司令官、海上幕僚長を経て2014年自衛隊トップの統合幕僚長に就く。米太平洋軍のハリス司令官ら米軍人脈は幅広い。神奈川県出身、61歳。

福島第1原子力発電所の事故は全く想定していなかった。自衛隊の原子力災害派遣の任務は除染の支援ぐらい。原発対処の訓練をしていないし、原子力の知識もなかった。現場に向かった隊員には原子炉建屋の水素爆発で負傷者も出た。本当に命懸けだった。

とにかく原子炉を冷却するのが先決だった。ホウ酸をまき、コンクリートの石棺で固める案も出た。結局ヘリコプターを飛ばして放水した。上空の放射線量が高すぎた3月16日は見送ったが、危機が迫っていたので17日は線量がどれだけ高くてもやる覚悟だった。幸運にも基準値を下回り、隊員は見事にやってくれた。

福島原発が危ないと最初に我々に知らせてくれたのは実は米軍だ。米軍は原子力空母を持ち、原子力に対する知識が豊富だ。当時、米原子力空母『ロナルド・レーガン』が三陸沖で活動していたが、原発周辺の情報収集にあたっていた艦載ヘリコプターが「原発事故があった」と母艦に知らせたようだ。

私は当時のフィールド在日米軍司令官からの電話で、初めて原発から放射性物質が漏れていると聞いた。その時点では全く知らなかった。日本に多くの自国民を抱える米国は日本の原発対応にいら立っていた。日本の問題は米国の問題でもあった。

東日本大震災後、大規模災害は統合任務部隊が対処するようになった。陸海空の隊員を一体として動かし、効率的に配置できる。自衛隊と地方自治体の連携が進み、防災訓練が活発になったのも大きい。

災害救援は発生から72時間が勝負だ。とにかく一刻も早く駆けつけなければならない。陸海空3自衛隊がそれぞれ何かがあったときには即時に対応できる部隊をあらかじめ指定してある。即応態勢はより強化された。

日米間で昨年4月に再改定した防衛協力指針(ガイドライン)に大規模災害をめぐる協力を初めて明記した。今も災害派遣の共同訓練をしているが、より充実したものにしていく。

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