勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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戦慄覚える過密日程、サッカーの今季タイトル左右

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2016/3/10 6:30
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2016年のサッカーJリーグは2月27日に開幕、2節を消化して昇格組の大宮がトップに立っている。戦いは始まったばかりだが、今季はタイトルの行方を過密日程が大きく左右する気が今からしている。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)と並行してJリーグ、ヤマザキナビスコ・カップ、天皇杯の国内3大タイトルを争わなければならないクラブは特に相当な試練に直面するだろう。

16年終盤のJクラブと日本代表の日程
9月27か28日ACL準決勝第1戦
10月1日J1第14節
   5日ナビスコ杯準決勝第1戦
   6日W杯アジア最終予選
   9日ナビスコ杯準決勝第2戦
   11日W杯アジア最終予選
   15日ナビスコ杯決勝
   18か19日ACL準決勝第2戦
   22日J1第15節
   29日J1第16節
11月3日J1最終節
   6日Jチャンピオンシップ1回戦
   15日W杯アジア最終予選
   19日ACL決勝第1戦
   22か23日Jチャンピオンシップ準決勝
   26日ACL決勝第2戦
   29か30日Jチャンピオンシップ決勝第1戦
12月3日Jチャンピオンシップ決勝第2戦

表は今季の終盤戦の日程を書き出したものである。Jリーグ、ナビスコ杯、ACLに日本代表戦がごった煮状態のこのスケジュールを見れば、どれもこれも勝ち進むことがどれほど至難の業であるか、ご理解いただけると思う。

いくら何でも個人の限界超える日程

例えば、この日程が1人の選手の身に降りかかるとしたら、私は戦慄すら覚えるだろう。日本代表の実力者である上に所属クラブがACLとナビスコ杯に勝ち進んでいたら、その選手は9月下旬のACL準決勝第1戦から席を温める暇もない状態になってしまう。日本代表でなくても、クラブがナビスコ杯とACLの両方に勝ち進んでいたら、こちらも相当きつい。

日本代表なら10月1日のJリーグ第14節を終えるとすぐに代表チームに参加。11日のワールドカップ(W杯)予選から戻るとすぐに15日のナビスコ杯決勝がある。18日か19日にACL準決勝の第2戦があり、22日から11月3日にかけてはJリーグ第2ステージのラストスパートを仕掛けなければならない。最終順位が決まるとすぐにJリーグチャンピオンシップ1回戦が6日にやってくる。

それから再び代表招集のコールがかかり、15日にW杯予選を戦うと、すぐにACL決勝第1戦が19日にある。さらにJリーグチャンピオンシップ準決勝が22日か23日にあり、26日にACL決勝第2戦をやって、Jリーグチャンピオンシップの決勝が29日(30日)と12月3日。ACLに勝つか、Jリーグ王者になるとこの後、クラブW杯が待っている。終わるとすぐに天皇杯。これでやっとシーズン終了。とてもじゃないが、1人の選手がこなせる日程ではない。

選手はサッカーをやって報酬をもらっているから弱音は吐かない。現場の監督も同様だ。私も「チャンピオンになるにはこの日程に耐えるくらいのタフネスが必要」と書こうと思えば書けるが、これはさすがに個人の限界を超えていると思う。選手が抱える疲労やストレスをどうマネジメントすればいいのか、監督は想像を絶する能力が要求される気がする。

ACLも戦う広島など4クラブの選手は今季終盤、すさまじい過密日程になる可能性がある=共同

ACLも戦う広島など4クラブの選手は今季終盤、すさまじい過密日程になる可能性がある=共同

社長に究極の選択を求めるしかなし

Jリーグチャンピオンシップ準決勝、ACL決勝、Jリーグチャンピオンシップ決勝が入れ代わり立ち代わりやってくるのもすごい。ACL決勝はアジア西地区代表との戦いになるから、どこかのタイミングで日本と西アジアを往復するフライトが入る。これで国内、アジアの両方とも勝てというのは非現実的な気さえする。そういう気の毒な状態にどこかのクラブが陥らないように祈る気にさえなる。

こういう日程ですべての大会に勝っていこうとしたら実力的にまったく遜色のないチームが2つないと無理だろう。しかし、「爆買い」で世界標準の補強を進める中国のクラブと違って、Jクラブに2チーム分の戦力などない。もし、両方の大会で選手が頑張ってACLとチャンピオンシップの王座が同時に目前に迫ってきたら、私が監督ならクラブの社長に究極の選択を求めるだろう。戦う相手は休養十分で来るのが目に見えているのだから「社長、どっちを勝てばいいですか」と。ひょっとすると開幕前に問うかもしれない。どこかで優先順位をつけないと「こんなの無理ですよ」と。

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