2019年9月16日(月)

iPhoneロック解除 米判事が指摘した米政府の矛盾

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2016/3/4 6:30
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判事は「スマホだけでなく、非常に多くの機器がネットにつながる『IoT』の世界で、ライセンス契約を理由に該当製品の利用者の監視に協力するようメーカーに強制できるとする政府の主張が通れば、個人のプライバシーを不正に侵害する政府の法的権限はほぼ際限なく広がることになる」と懸念を示した。

■アップルに落ち度なし

オレンスティン判事は、アップルが捜査の進展を妨げる目的で露骨に行動を取っていない点にも重大な過失はないとしている。

判事は「アップルはフェン容疑者と共謀し、容疑者の端末のデータにアクセスできないようにしたわけではない」と指摘。「さらに重要なことに、ニューヨーク・テレフォン・カンパニーのような行為もとっていないだろう。つまり、捜査当局が令状を執行すれば着手できる行動に出るのを阻止するために、自社の資産の提出を拒んだわけではない」と述べた。

この指摘を拡大解釈すると、連邦政府はアップルとニューヨーク・テレフォン・カンパニーが比較可能とは限らないのに、全令状法を持ち出して抗弁していることになる。オレンスティン判事にとって、この点に関する政府側の主張は全く説得力を持たない。

ニューヨーク・テレフォン・カンパニーは国が原告となった1977年の最高裁での判決で、規制の対象となる公益企業だと判断された。だがオレンスティン判事はこの点についても、アップルとニューヨーク・テレフォン・カンパニーは同等だとみなしていない。

判事は「アップルは国民よりも株主に仕える義務がある」と述べた。

■政府主張に矛盾

判事が2月29日に米政府に仕掛けた攻撃でおそらく最も重要なのは、iPhoneのロックを解除する適切な技術を持っているのかどうかという点をめぐる政府の発言のブレだ。これは戦術のように思えるかもしれないが、その重要性は実際には極めて正当だ。政府は今回、iPhoneのロックを解除できなかったために裁判所による救済を求めたが、オレンスティン判事が指摘した通り、これは事実ではない可能性がある。

判事は「政府は2カ月前、この地区で起きた別の犯罪事件での証拠排除の申し立てに反対し、全く異なる内容の発言をした」と指摘。国がアダム・ジボ容疑者と争った裁判で政府が提出した書簡を引用した。

書簡では「パスコードが分からなくても、政府の記録を入手する能力に重大な支障はない。(米国土安全保障省の国土安全保障研究所=HSIは)鑑識技術者に該当のiPhoneのパスコード機能を無効化させ、内部のデータを入手させる技術を持っているからだ。言い換えれば、HSIの捜査官は被告人のパスコードが分からなくても、特殊なソフトウエアを使ってその端末に保存されている記録を入手できる。このソフトウエアはパスコード入力の要求をすり抜け、コードを入力することなくその端末の『ロック解除』機能を作動させる。ロックを解除してしまえば、端末内部の全ての記録にアクセスし、コピーすることができる」と説明されている。

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