原発事故5年、被災者への賠償額 すでに6兆円

2016/3/2 3:30
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福島第1原子力発電所の事故に伴って発生した巨額の賠償に対応するため、政府は「原子力損害賠償支援機構」(現原子力損害賠償・廃炉等支援機構)をつくり、東京電力に資金支援をした。被災者や企業向けの賠償額の目安を示す指針もつくり、支払いが迅速に進むようにした。

賠償は、例えば国の避難指示で精神的な損害を受けた住民には毎月10万円、風評で営業損害を受けた企業にも関連費用などを支払う。政府の原子力損害賠償紛争審査会が2013年に示した資料によると、帰還困難区域に住む4人家族の場合、賠償額は9000万円に達する。

震災前、元気に遊ぶ園児の声が響いていた福島県飯舘村の幼稚園(2010年10月7日)

震災前、元気に遊ぶ園児の声が響いていた福島県飯舘村の幼稚園(2010年10月7日)

全村避難で荒れ果てた園庭は2014年に除染されたが、再び雑草が生え始めていた(2015年10月7日)

全村避難で荒れ果てた園庭は2014年に除染されたが、再び雑草が生え始めていた(2015年10月7日)


これら賠償額の合計は今年2月時点で6兆円近くに膨らんでいる。東電は支援機構から必要な資金を受け取っているが、毎年上がる利益の中からも少しずつ資金を返済し始めている。東電以外の電力会社も利用者の電気料金の一部で賠償資金を負担している。

政府と東京電力は住民の早期帰還を進め、企業の営業再開も促しつつ、賠償は段階的に打ち切る方針だ。ただ地元の反対も強く、今年2月に打ち切る計画だった営業損害の賠償は17年2月まで延ばす措置を決めた。

賠償額に不満を持つ住民からの裁判外紛争解決手続き(ADR)への申し立ても増えており、1万9000件を超えている。約7割はADRを担う「原子力損害賠償紛争解決センター」の仲介で和解しているが、解決に至らず裁判に持ち込まれる案件も出ている。

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