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サッカー・リベルタドーレス杯、ぶつかる強豪の意地

サッカージャーナリスト 沢田啓明

サッカーの南米クラブ王者の座を争うコパ・リベルタドーレス・ダ・アメリカが、2月16日に開幕した。大会名称を直訳すると、「アメリカ解放者カップ」。南米各国をスペイン、ポルトガルなど欧州のくびきから解き放った独立の志士たちへのオマージュである。

1960年に始まり、今年で56回目。過去に優勝したクラブの国別の内訳は、アルゼンチンが24回で最も多く、ブラジルの17回、ウルグアイの8回と続く。

当初は各国リーグで優勝したクラブだけが参加していたが、66年以降、各国から複数のクラブが出場するようになった。98年からはメキシコのクラブも加わり、現在は南米10カ国とメキシコの計11カ国から32チームが参戦する。

4チームずつ8グループに分かれてホームアンドアウェーの総当たりで対戦し、各グループの上位2チームが勝ち上がる。ここから先がユニークで、ベスト16のチームを勝ち点、得失点差、得点数、アウェーゴール数によって順位付けし、決勝トーナメント1回戦で1位と16位、2位と15位……といった具合に対戦する。以後、ノックアウト方式でホームアンドアウェーで戦い、決勝は7月下旬に行われる予定だ。

南米代表する強豪・古豪が勢ぞろい

この大会で優勝することはクラブ史に永遠に残る栄誉であり、南米代表として年末のクラブワールドカップに出場する権利も手にする。それだけに、チームが勝ち進むと、クラブ関係者、監督、選手、サポーターの誰もがタイトル獲得を目指して必死になる。2012年にコリンチャンス(ブラジル)の、昨年はリバープレート(アルゼンチン)のサポーターが大挙して日本へ渡り、気迫に満ちた応援を繰り広げて社会現象ともなったが、それにはこのような背景がある。

今年は、参加32クラブ中、実に15クラブが過去に優勝を経験しており、南米を代表する強豪、古豪が勢ぞろいした感がある。それでも、過去10年間でブラジルのクラブが5回、アルゼンチンのクラブが4回優勝しており(残り1回はエクアドル)、今年も優勝争いはこの両国のクラブが中心となるのではないか。

アルゼンチンで最も評価が高いのが、過去6回優勝の名門ボカ・ジュニアーズ。昨年、1次リーグで6戦全勝して参加チーム中最高の成績を残し、決勝トーナメント1回戦で16位のリバープレートと対戦したのだが、アウェーで0-1で敗れた後、ホームゲームのハーフタイムに地元サポーターが相手選手に強力な唐辛子スプレーを放射して負傷させたため、失格処分を受けた。世界サッカー史上でも極めて異例の出来事だったが、このアクシデントがなければリバープレートを下して勝ち進み、南米の頂点に立っていたかもしれない。

ベテランの両CBとアルゼンチン代表ボランチ・ガゴを中心に粘り強く守り、欧州から10年ぶりに帰国したアルゼンチン代表FWテベスを中心とする強力攻撃陣が相手ゴールを襲う。クラブとしてこの大会の戦い方を熟知しているのも、大きな強みだ。

リバープレート、総合力は昨年以下か

昨年の覇者リバープレートは、マルセロ・ガジャルド監督が留任し、攻守の素早い切り替えと多彩な攻撃という特長を堅持している。ただし、アルゼンチン代表クラネビッテル、ウルグアイ代表カルロス・サンチェスの両ボランチが抜けた穴が完全には埋まっておらず、総合力は昨年よりやや落ちるのではないか。

ラシンは、守備陣をベテランで固め、攻撃陣には伸び盛りの若手が多い。パラグアイ代表MFオスカル・ロメロが決定的なパスを配給し、21歳のパワフルなコロンビア代表ロジェール・マルティネス、元アルゼンチン代表リサンドロ・ロペスらが思い切りの良いシュートを放つ。

ブラジル勢では、アトレチコ・ミネイロが面白い。屈強なCBエラーソ、才能豊かなMFカサーレスのエクアドル代表2人と元ブラジル代表FWロビーニョを補強し、新任のディエゴ・アギーレ監督が高い位置でのプレスと縦に速い攻撃を植え付けつつある。

昨年のブラジル全国リーグの覇者コリンチャンスは、現役ブラジル代表2人を含むレギュラー6人が中国リーグなどへ流出。強固な守備は健在だが、攻撃陣は新加入の選手が多く、連係構築を急いでいる。12年にこの大会を制覇している名将チッチの手腕が注目される。

右サイドから攻撃を組み立てるパラグアイ代表アンヘル・ロメロは、ラシンのMFオスカール・ロメロの双子の兄弟。容姿はもちろんだが、柔らかいテクニックと豊富なアイデアが酷似している。ともに勝ち進めば、双子対決が実現するかもしれない。

ザ・ストロンゲスト、初戦で大金星

昨年、大型補強を敢行してコパ・ド・ブラジル(ブラジルカップ)を制覇したパルメイラスは、主力の大半が残留し、攻守両面で連係を深めている。守備陣には42歳の左SB・ロベルトら経験豊かな選手が多く、攻撃陣のFWガブリエル・ジェズスら若手がさらに成長すれば、優勝争いに加わりそうだ。

この他、身体能力が高い選手がそろっており、テクニシャンのコロンビア代表MFイバルボ、驚異的なスピードを持つ新鋭FWカルロス・モレーノらを擁するアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)、ショートパスを小気味良くつなぐプーマス(メキシコ)、元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルラン(前C大阪)が攻撃をけん引する古豪ぺニャロール(ウルグアイ)、外国人選手6人を擁し、技術が高い選手が多く、初戦で強豪サンパウロ(ブラジル)を敵地で破る大金星をあげたザ・ストロンゲスト(ボリビア)など個性豊かなチームが目白押しだ。

南米選手ならではの高度なテクニックと意外性に満ちたプレー、そしておのおのの国を代表する強豪クラブとしての誇りと意地がぶつかり合っての好勝負が期待できそうだ。

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