/

[FT]原油安の苦悩、だぶつきで終わり見えず

Financial Times

数週間前、エネルギー企業の幹部らは「どんどん低くなり長期化する」原油価格の地獄の手前のような状況を嘆いていた。桁外れに大きな苦境が長引く中、これは終わりの見えない苦悩の一つだという言い方が増え始めている。

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズのジム・ティーグ最高経営責任者(CEO)は、今週ヒューストンで開かれたIHSエナジー主催の会合「セラウィーク」で、同業の幹部に「皆はこれが周期的なものだと言い続けているが、私にしてみればこれは本当の地獄だ」と語った。

火の池であろうとなかろうと、世界中の貯蔵タンクにだぶついた大量の原油があることで、原油市場に警戒感が広がりつつあるのは確かだ。

同会合では企業幹部と政府関係者らが価格推移について、短期的に低迷し、年末までには途中激しく変動しながら幾分か上昇するとの概要を示した。

原油価格の先行きはヒューストンなどのエネルギー産業の中心地以外にとっても重要だ。原油はインフレに影響し、最近は株式市場にも影響を及ぼしたようだ。米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は同会合で、原油価格は今やマクロ経済問題だと語った。

ベテランの石油業者は価格を予想したがらない。何度かの打撃を乗り越えたことから身につけた謙遜だ。過去30年間で石油産業は1986年、98年、2009年、そして現在と4度の打撃を持ちこたえている。オクシデンタル・ペトロリウムのスティーブン・チャゼンCEOは、「誤った底入れ――あるいは2番、3番または4番底」への注意を促す。

BPのグループ副CEOであるラマー・マッケイ氏は、原油価格が今後どのように推移するかについて明確に一致した見解はないと話す。「皆がV字やらW字、L字またはバスタブ曲線だとかあらゆること言っているのを耳にするだろう」とした上で、「この価格推移が何の字になるかはまだ見えていないと思う。だが、VやWではない気がする」と述べた。

価格回復への3つの要素

回復できるとすれば3つの要素が重要だ。一つには、国際エネルギー機関(IEA)が欧米だけで現在30億バレル以上に積み上がっているとする在庫を減らすことだ。IEAは今年も在庫は1日当たり110万バレルのペースで増え続け、横ばいになるのは17年だと予測している。だが、「セラウィーク」に出席した業界のトップらは見通しは非常に不透明だとの見方を示した。

シェールオイルとガスの生産企業、EOGリソーシズのマーク・パパ元CEOは6カ月から24カ月で市場の均衡が訪れ、その時価格は1バレル65~75ドルで落ち着くと予想している。

2つ目の要素は需要の増加ペースだ。IEAは世界の需要は毎年約1%のペースで拡大し、19年か20年に初めて1日当たり1億バレルに達すると予想している。カナダの総合石油最大手、サンコー・エナジーのスティーブ・ウィリアムスCEOは、原油価格120ドル以上の日々は「例外的」だったと認めた上で、「30ドルや40ドルの期間は長くは続かない」と話した。困窮する石油企業がすぐに需要を満たせなくなるからだ。

サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は同会合で「需要の心配はしていない」と述べた。

だが、一部の企業幹部は今後は石油の利用が拡大するという見方を支持することをためらっている。米環境保護局(EPA)のマッカーシー長官が温暖化ガスの水準について称賛し、今後約5年足らずでガソリン1ガロンで車が2倍の距離を走れるようになるだろうと述べたことが不安をあおったのかもしれない。米国の石油需要は世界の石油消費の約10分の1を占める。

3つ目の要素は供給だが、これは産油国が大部分でコントロール可能だ。ヌアイミ氏は、世界最大の輸出国であるサウジアラビアに減産するつもりはないことと、原油価格20ドルでなんとかしぶしぶ「共存」できる見込みであることを明言した。

高コストの業者、減産余儀なく

そうなれば、経費がかさんでいる石油会社は生き残りのため生産量削減によるキャッシュの節約を余儀なくされるだろう。ノースダコタ州のバッケン鉱区にあるシェール油田の石油大手ヘスは、石油掘削装置を17基から2基に減らした。同社のジョン・ヘスCEOは「石油を地中に残したままの方がいい」とした上で、「ゆっくりとした回復に向けた種はまかれているが、それらが芽を出すまでには相当な時間がかかりそうだ」と話した。

米エネルギー情報局(EIA)は今週、製油所の稼働が季節要因で減速しているため、原油在庫がさらに膨らみ、短期的には価格をさらに押し下げる可能性があると警告した。

米パイプライン運営大手プレーンズ・オール・アメリカンのグレッグ・アームストロングCEOは「おそらくこの先の120日間はこれまでの30年間で見てきたのと同じくらい厳しいものになるだろう」と述べた。

By Gregory Meyer

(2016年2月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

企業:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン