学生を不安にするリクルーター 結局なんだったの?

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2016/2/25 6:30
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■「効果が見えない」廃止した会社も

企業の広報代行を手がけるベクトルは、2017年卒からリクルーター制度の導入を決めた。きっかけは、採用の広報期間が3カ月と短くなったことで学生が企業研究を十分できないのでは、という危惧からだ。リクルーター業務に関わる社員は全社員の10%程度。経営戦略本部人材課の臼田大輔マネージャーは、「優秀な社員を採ることができるのは、優秀な社員。それを伝え、社員みんなで採用活動に関わることが必要」と話す。

一方、ある大手通信会社は、500人近い社員が関わっていたリクルーター制度を4年ほど前に廃止した。10年以上も続いたシステムをやめた理由を採用担当者が打ち明けてくれた。「現場社員の休日や業務を犠牲にしてまで、採用活動に動員しても、そこまで数字的な効果が見いだせなかった」という。

この会社も、やはり大学ごとに20から30ほどのチームを構成。1つの大学から30人の学生を推薦をするノルマが与えられるケースもあり、その場合、現場リクルーターは500人から600人もの就活生に会わなければならなかったという。チームによっては、部活動のような上下関係も生まれていた。「大学ごとに、やり方に違いが出てきたことも問題でした。就活生にとってみれば不透明に感じていたのでは」と振り返る。

リクルーターは突然現れて、興味がなくなれば去って行く。それでも電話には出るしかない

リクルーターは突然現れて、興味がなくなれば去って行く。それでも電話には出るしかない

■トラブルも絶えない

現場社員が関わるリクルーター制度には、トラブルもつきない。谷出氏によると、例年耳にするのがセクハラ問題。数年前、大手銀行でリクルーターを装った行員が就活中の女子大生にわいせつ行為をした事件もあった。ある中堅私大のキャリアセンターには、「リクルーターから内々定をほのめかされたと勘違いした学生がおり、小さなトラブルになった」という声も届いた。

企業はトラブルを避けるために研修を実施し、対策を講じている。一般的には、「2人きりでは食事にいかない」「お酒は飲まない」「選考中に会う場合は社内の会議室で会う」などが多い。

リクルーター面談が学生にとっても、企業にとっても、選考や説明会では見えづらい互いの「本音」を聞き、理解を深める手段として有効なものであることは違いない。しかし、構えすぎる必要はないが、社会人が採用時期の前後に連絡する以上、選考にはなんらか関わっている可能性があると見るのが妥当。谷出氏は、「社会人に会うときは、選考されていてもおかしくないと思え」と警告する。

2017年の新卒採用に向け、リクルーターたちが動き始めるのはちょうど今ごろから。冒頭の早大生はこう言う。「リクルーターからの電話は楽しみでしたが、どうせ他の人にもかけているんだろうなと思っていました」。『告白』は一方通行。言い寄られたのに、興味がなくなれば去って行く。だが、電話は取るしかない。選ばれた優先切符の可能性もあるのだから。

(松本千恵、塚田光、中山美里、雨宮百子)

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読者からのコメント
ぽこすけさん、30歳代男性
リクルーターという制度は本当にグレーだと思う。営業なら有り得ないような夜遅くに連絡が来ることもあるし、連絡の間隔も曖昧だし、待ち合わせ場所もなぜか飲食店だし。SNSやメールアプリが普及する中で、今は売り手市場だからいいが、買い手市場になったらトラブルが増えそう。今のうちに明確なルール整備が必要なのではないか。
純ちゃんさん、50歳代男性
むかしバブル期に銀行員だった。1~3年目の行員は、リクルーターが義務だった。人事において採用枠がある以上、未達はまずい。だから学生が逃げるかどうかは最重要。そこそこの人間ならOK。だから志望動機は重視された。記事の中の大手銀行の話は、むかしとそっくりだ。しかし、1年かそこいら仕事した兵隊に、人を見る目はないし、会社の方向性もわかるまい。そういうリクルーターは不要であろう。

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