2019年8月18日(日)

学生を不安にするリクルーター 結局なんだったの?

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2016/2/25 6:30
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■リクルーターは3種類

「リクルーター」は、バブル世代にはなじみが深い。最近復活してきているのは、就活が売り手市場に転じていることに加え、就活スケジュールが変更になったことが背景にありそうだ。就活支援サイト「ワンキャリア」を運営する宮下尚之氏は、「今年の就活は、3月に企業広報解禁、6月に選考解禁と、就活史上最短の3カ月。短期決戦にそなえ、リクルーターの人数は増えている」という。その分、現場の混乱も目立つ。

業種別OB・OG・リクルーターによる面談
建設32.3%
製造(建設除く)24.3%
商社6.4%
小売り20.6%
金融15.1%
ソフトウエア・通信22.3%
サービス・インフラ16.4%
マスコミ16.6%
全体19.5%

出所:マイナビ

採用コンサルタントの谷出正直氏によると、リクルーターには大きくわけて3種類ある。1つ目は、「学生への企業広報、認知」。いわばPR係だ。採用選考時期より前に非通知電話でかかってくるものの、多くはこのケースが多い。第2は、選考中の学生サポートだ。主に、面接と面接の間に学生に接触する。彼らのミッションも、1つ目と大きな違いはなく、自社の理解を深めてもらうことだが、何度もコンタクトを取り学生とのつながりを深め、自社への志望度をあげることも大切な役割だ。最後が、「入社を決めてもらう」ためのリクルーター。内々定を出す前後に学生に会い、実際に入社してもらえるよう、本音を聞き出しフォローする役割だ。

冒頭の早大生の場合、第3までは到達したものの、最終的にふるいにかからなかったケースといえそうだ。

リクルーターに対する学生の受け止め方は様々だ。昨年就活した慶応大4年の男子学生は、「リクルーターとして会った大手自動車メーカーの社員はひどかった。ねちっこく質問してくる上、こちらの発言を頭ごなしに否定された。広報活動、と連絡してきたが、あれは明らかに選考」と不快感を隠さない。

一方、総合商社に勤める3年目の男性はリクルーター面接を切り抜け、当時大手自動車メーカーから内定をもらった時のことを振り返る。「早い段階でセミナーにいき、そのセミナーで多く質問することが、リクルーターのつくコツだと思う。セミナーに行った人のなかでも、つく人とつかない人がいたようだ」という。

「名目上は社員との交流だが、実際は評価の対象になっている」とキッパリ。この男性社員は5回のリクルーター面談を通過したのち、簡単なグループディスカッションと30分程度の面接のみで内々定を得た。

今年大手電力会社に就職する早稲田大4年の男性は、リクルーター通過組が実際の選考で優先されていた当時を振り返る。「自分には声がかかりませんでしたが、内定をもらいました。しかし、リクルーター面談を経た同期は、8月1日早々に面接を受けて早々に内定をもらっていた。自分は、1日に面接を予約できなくて結局8月中旬に最初の面接。焦っていた」という。

■大学1校ごとに20人のチーム

「リクルーター」と書いてきたものの、3月広報解禁、6月選考解禁のルールを表向き順守する企業には、そんな存在はいないことになっている。それだけにリクルーターに任命された現場社員からの困惑の声も聞こえる。

ある大手銀行では、2月下旬に行内でリクルーターの説明会が開催された。参加した入行4年目になる男性は「対外的にはリクルーターはやっていないことになっているが、本音はやっている。リクルーターに選ばれる経緯や理由は行員内でもわからない」という。

この銀行では、狙いを定めた大学ごとに各20人程度のチームを組む。各チームのトップは入社7~8年目の社員。チーム員は1年目や2年目が比較的多く、学生に会い優秀で志望度が高いと判断した情報をチームのトップに報告する。報告を受けた中でさらにふるいにかけて人事に報告する。この行員は「基本的にこの仕組みにのっていないと内定への道はない」とバッサリ。

学生の評価が高ければ、面接開始日の当日に面接して内定。そうでない場合は複数の面接もしくは、面接時期を遅らせるなどの措置をとる。判断理由として最も重要なポイントは「志望度の高さ」。優秀であっても、志望度が低ければ人事に上げづらい、と現場社員は判断するらしい。

学生の数にノルマはあるのか。「チーム員には何人採用しなければならないなどの責任はなく、評価には関係ない。ただ、リーダーはある程度の人数枠を与えられているので責任はあるかもしれない」。本業への影響はどうなのか。「採用時期が、4月から6月にずれたことはありがたい。4月のままだったら、年度末が重なり、業務に影響する可能性もあった」。リクルーター業務の負荷の大きさがうかがえる。

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