2019年8月20日(火)

フルスイングの余韻(山崎武司)

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プロ野球キャンプ、バカらしい練習にも意味あり

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2016/2/21 6:30
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今年もプロ野球の季節がやって来た。ファンにとっては胸躍る球春だ。しかし現役時代の僕は、キャンプインの2月が近づくと気が重くなっていた。「あ~、オフが終わっちゃう」。日曜日の夕方のような未練と寂しさが入り交じっていた。

プロ野球では春と秋にキャンプがある。秋はシーズンの反省を踏まえ、個人の技術的な課題などにじっくり取り組める。一方、春はといえば開幕に向けたサバイバル。レギュラーを保証された選手以外は、2月1日からどんどんアピールしないといけない。緊張感と不安に付きまとわれることになる。

本州が寒い季節、暖かい沖縄で過ごせることなど何の慰めにもならない。練習後、おいしい食事の店や心を和ませるお姉さんがいる店に出かけても、楽しいのは一瞬だけ。ホテルに帰れば、練習でうまくいかないことやライバルとの力関係に頭を悩ませ、ひとり悶々(もんもん)とすることも多かった。特に印象に残るのがオリックスから楽天に移った1年目。自分の力が落ちてきた自覚もあり、後にも先にもないほど不安が募った。

今キャンプ一推しの若手はドラフト3位で楽天に入った茂木=共同

今キャンプ一推しの若手はドラフト3位で楽天に入った茂木=共同

春のキャンプでは新顔も入る。全員がチームの勝利のために戦うのは確かだが、野球選手が最も恐れるのは、競争に負けて野球ができなくなることだ。各チーム似たり寄ったりの練習メニューでも、ライバルがいるかどうかでキャンプの密度は大きく変わる。

小力あり強くバット振れる楽天・茂木

引退してから2月はすっかり気楽になった。解説者として各チームのキャンプを回り、若手の成長や奮闘ぶりを見るのが楽しい。今年は2月半ばまでに5球団を視察した。印象に残った選手を紹介したい。

一推しは早大からドラフト3位で楽天に入った茂木栄五郎だ。小力がある。身長170センチそこそこで、あれだけ強くバットを振れる選手はなかなかいない。一方、ドラフト1位のオコエ瑠偉(東京・関東第一高)は「時間がかかるな」という印象。極端にいえば、野球のことを何も知らずに野球をやっている。打撃理論などお構いなしで、ひたすら来たボールを打っていたのだろう。それでも甲子園であれだけ活躍するのだから、潜在能力の高さには驚くばかりだ。現状の未熟さは、計り知れない伸びしろの裏返しととらえたい。

同じ高卒ルーキーではロッテの平沢大河(仙台育英高)の完成度が高い。走攻守と何をやらせてもプロで4~5年やっているような雰囲気がある。小柄だがバットも強く振れる。当面の課題はプロのスピードに慣れること、シーズンを戦う体力をつけることだろう。主将の鈴木大地が守る遊撃レギュラーの壁は高いが、意外と早く出てくるかもしれない。

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