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五輪後の新国立、稼げる施設に まず大胆な決断を
編集委員 北川和徳

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2016/2/19 6:30
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2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の大会後の運営管理を検討する、関係省庁によるワーキングチームの初会合が今月10日、文部科学省で開かれた。約1500億円を投じて整備する新国立を、ビッグイベントの後も有効活用して収益を上げる施設にするのが最大の検討課題。初会合では資料として国内の主要スタジアムの運営状況なども披露された。それを見るとほとんどのスタジアム施設の収支は赤字続き。新国立の黒字運営も生半可な取り組みでは実現できないことが改めて分かる。

02年サッカーW杯会場の14年度の利用状況
スタジアム名所在地稼働日数収入(億円)支出(億円)
札幌ドーム札幌市13437.232.3
ひとめぼれスタジアム宮城宮城県利府町1193.49
カシマサッカースタジアム茨城県鹿嶋市762.42.9
埼玉スタジアムさいたま市525.98.8
日産スタジアム横浜市782.37.5
デンカビッグスワンスタジアム新潟市811.23.1
エコパスタジアム静岡県袋井市1422.28.1
ヤンマースタジアム長居大阪市10846
ノエビアスタジアム神戸神戸市9246.1
大分銀行ドーム大分市790.13.8

(注)スポーツ庁調べ。命名権などライツ等収入は除く

02年サッカー・ワールドカップ(W杯)の舞台となった10会場。14年度の収支がプラスなのは札幌ドーム(札幌市)だけだ。同ドームの年間収入は37億2000万円とこの中では群を抜いている。プロ野球の日本ハムファイターズが本拠地としていることが大きい。Jリーグのコンサドーレ札幌のホームでもあり、スポーツ以外の催しであるコンサートでも14年度は10日間の使用で約46万人を集めている。

札幌ドームでは「札幌モーターショー」も開催された(1月22日)=共同

札幌ドームでは「札幌モーターショー」も開催された(1月22日)=共同

大半の施設、年間収入が10億円未満

W杯会場となった各施設を建設し、所有するのはいずれも自治体。現在ではどこも運営を指定管理者に委託して民間のノウハウを活用している。とはいえ、実際は半官半民で官に頼った運営にとどまっている。札幌以外の9スタジアムはすべてランニングコストなどの支出が収入を上回り、自治体が負担する指定管理料によって赤字を埋めている。それぞれJリーグクラブがホーム、または準ホームとしているが、1チームの試合数が少ないサッカーだけでは、とても帳尻はあわない。

そもそも、札幌以外では年間収入が10億円を超える施設がない。収支のマイナスが最も大きいのは、エコパスタジアム(静岡県袋井市)、続いてひとめぼれスタジアム宮城(宮城県利府町)。この2施設には共通点がある。交通アクセスの不利や採算面からJクラブの準ホームにとどまり、陸上競技などの使用が中心になっていること、スタジアムを含む運動公園全体を運営する必要があることだ。一方で稼働日数はエコパがトップで年間142日、ひとめぼれも同119日で札幌ドームに続いて3位となっている。利用料が格安となる入場無料の地域のイベントなどによく使われているようだ。ビジネス利用を考えず、利便性よりも公共性を重視して建設された国内スポーツ施設の典型といえる。

建設費が当初予定の2倍以上に膨れあがったことで計画が白紙見直しとなった新国立も、当初の独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)による管理運営という方針を見直し、20年大会後は民間事業として黒字化を目指す方向が固まっている。全天候対応を可能とする開閉式屋根の設置を見送ったこともあり、機能面では赤字が続く国内のW杯スタジアムと目立った差異のない平凡な施設となった。これでは民間が運営に手を挙げないのではと、心配する意見もある。

杞憂(きゆう)だと思う。

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