2019年6月24日(月)

スマホ診療、事実上解禁 外来「7割不要説」も

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2016/2/25 6:30
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日経テクノロジーオンライン

スマートフォン(以下、スマホ)などのモバイル端末を活用した遠隔診療を実現する動きが、国内でにわかに活発化してきた。背景には、厚生労働省による「事実上の解禁」と捉えられる通達がある。"スマホ診療"の動きは、もちろん日本だけのものではない。同分野のイノベーションに造詣が深い早稲田大学 早稲田ビジネススクール 客員准教授の鶴谷武親氏に、遠隔診療の変化の兆しを解説してもらう。

日本国内でも遠隔診療サービスを開始するベンチャー企業が登場し、にわかに活気づいている。実態としては、へき地医療や慢性疾患、在宅医療などを中心にこれまでも遠隔診療がなされてきたが、ここにきて厚生労働省が2015年8月10日に出した通達が、一部の関係者に「遠隔診療の事実上の解禁」として捉えられていることが大きい。

いわゆる「平成9年遠隔診療通知」の解釈について、従来は「限定」として解釈されていた具体的利用環境や疾患について、「例示にすぎない」としたもの。結びとして「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、直接の対面診療と適切に組み合わせて行われるときは、遠隔診療によっても差し支えないこととされており、直接の対面診療を行った上で、遠隔診療を行わなければならないものではない」としたのである。

同時に、政府・与党のさまざまな会議や検討会、さらには「骨太の方針」などを通じて、「医療におけるICT(情報通信技術)の利活用」や、中には具体的に「遠隔診療」という言葉が発信されるなど、「政府・与党の意図」が伝わるようになったことも大きい。もちろん、止まらぬ医療費の増大という社会背景や、グレーゾーン解消など政府・関係者が地道に進めてきた改革のお膳立ても大切な要素であろう。

これらの変化を敏感に捉え、まずはベンチャー企業が動き出した。自己採血ステーションの登場やドラッグストアにおけるさまざまな検査の実施、そしてついに遠隔診療が登場したのである。

例えばIT(情報技術)関連企業のポートは、スマホなどを用いて医師の診療を受け、必要に応じて医薬品を受け取れる遠隔診療のサービス「ポートメディカル」を2015年11月に発表した。

ポートが提供する「ポートメディカル」の仕組み(画像:ポート)

ポートが提供する「ポートメディカル」の仕組み(画像:ポート)

公教育と並び、"変化しない業界"と信じられてきた医療の現場も、少しずつ変わろうとしている。我々国民はその契機を前向きに捉え、社会の全体最適はもちろん、世界に先行する高齢社会として地球規模の貢献を目指すべきだろう。

■外来診療の70%が不要に

医療のイノベーションの動きは日本に限ったことではない。むしろ、制度や文化など、市場環境の異なる世界各国では既にさまざまな「実例」が生まれつつある。

例えば、最近リリースされたばかりのサービスに、「CliniCloud」がある。このサービスを手掛けるCliniCloudは、若い2人の医師によって設立されたスタートアップ企業である。ヘルスケアITであると同時に、「IoT(モノのインターネット)」の側面も持つ企業として注目されている。

CliniCloudが提供するデジタル体温計(左)とデジタル聴診器(右)(写真:CliniCloud)

CliniCloudが提供するデジタル体温計(左)とデジタル聴診器(右)(写真:CliniCloud)

同社が開発・販売する製品は、小型の個人用デジタル聴診器とデジタル体温計である。スマホに接続することで心音、肺音、体温という基本的な健康データがスマホ上およびクラウド上に記録され、必要に応じてインターネットを通じて医師と共有し、遠隔医療サービスを受けられる、というものである。

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