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タフなサッカーACL、日本勢の8年ぶりVなるか

サッカージャーナリスト 大住良之

プレーオフでFC東京が快勝し、今季も日本から4クラブがサッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場することになった。2008年にG大阪が優勝して以来、決勝進出もない日本のクラブ。8年ぶりの優勝を目指す戦いは2月23日にスタートする。

02年から03年にまたがって第1回大会が開催されたACL。03年の新型肺炎(SARS)流行で03~04シーズンという形の大会が開催できず、04年から単年開催となって今回が第14回となる。大会は09年に拡大され、日本から4クラブが出場できることになっていたが、昨年の改組で1クラブはプレーオフを通じての出場となった。

プレーオフでチョンブリに大勝、ACL本大会出場を決めて喜ぶFC東京イレブン=共同

昨年は柏がタイのチョンブリを延長戦の末に3-2で下して「グループステージ」への出場権を獲得した。今年は昨年度Jリーグ4位のFC東京がプレーオフに出場、やはりチョンブリと対戦して9-0で大勝し、「4枠」を守った。

優勝狙うなら非常にハードな日程に

ACLのグループステージ(1次リーグ)は4チームずつ8組に分かれてホームアンドアウェーで戦い(東地区はE~H組)、各組上位2クラブが「ラウンド16」以降の「ノックアウトステージ(決勝トーナメント)」に進出する。ノックアウトステージはホームアンドアウェーの2戦制による勝ち抜き方式。決勝は11月19日と26日に予定されている。

決勝まで戦うと、プレーオフを除いても14試合。Jリーグの34節、そしてナビスコ杯の準々決勝以降の試合と重なると、優勝を狙うには非常にハードな日程をこなさなければならない。

ACLの試合は火曜日あるいは水曜日。週末にJリーグを戦い、中2日あるいは3日で長距離・長時間の移動を伴うアウェーゲームを戦わなければならない。フィジカル、メンタルの両面でタフさが要求される。

厳しいのは日程だけではない。通常、チームのパフォーマンスが最高潮に達するのは、開幕から数試合を経た後だといわれる。フィジカル面でトップコンディションにあり、戦術的トレーニングを十分積んでいても、開幕直後は「実戦感覚」の面でまだ眠っている面があるからだ。ACLグループステージでの日本勢の苦戦は、トップフォームになるまでにグループステージの半分が終わってしまうことが主因だった。昨年のスタート3戦では、プレーオフから出場した柏は2勝1分けだったが、G大阪は1分け2敗(3戦目に引き分け)、浦和と鹿島は3連敗だった。

今季の広島はウタカ(左端)らが加入し、攻撃陣がパワーアップしている=共同

Jリーグから今季のACLに出場するのは、広島、G大阪、浦和、FC東京の4クラブ。東地区の4グループは日韓中の対決の色合いが濃い。日本と韓国は1クラブ、中国は2クラブがプレーオフに回ったが、3カ国とも全クラブが勝ち抜き、各国4クラブずつがグループステージ出場を果たした。残る4つの座は、オーストラリアが2、タイとベトナムがそれぞれ1。

補強に力、注目される中国4クラブ

韓国のクラブは非常に戦闘力があるが、今季注目されるのは中国の4クラブだ。今冬のサッカーマーケットに、中国のクラブは総額で2億5890万ユーロ(約330億5000万円)もの大金を注ぎ込み、「世界で最も裕福」といわれるイングランドのプレミアリーグを上回ったと報道されている。

最も派手だったのはE組でFC東京が対戦する江蘇蘇寧(昨年までの江蘇舜天から改称)。新しくオーナーになった家電小売企業の蘇寧(日本のラオックスを買収したことで知られる)の援助により、MFテイシェイラ、MFラミレス、FWジョーというブラジル代表3人を獲得したのだ。総額で8000万ユーロ。昨年の中国スーパーリーグでは9位で、カップ戦優勝によりACL出場権を得た江蘇蘇寧だが、昨年とはまったく違うチームになったとみなければならない。

新ユニホームを着てポーズをとる浦和のイリッチ(左)ら=共同

H組で浦和と当たる広州恒大は昨年のACLチャンピオン。年末のクラブワールドカップでもベスト4に進出している。「中国代表+ブラジル代表級の外国人選手」という構図は今季も変わらない。1月にエースのFWエウケソンをACLでG組(G大阪と同組)に入る上海上港に売却して驚かせたが、その2週後にはコロンビア代表FWマルティネスを4200万ユーロで獲得した。MFパウリーニョ、FWグラルというブラジル代表とともに、馬力あふれるマルティネスには、浦和も相当苦労させられるだろう。

拡大された09年以降のACLでグループステージを突破した中国クラブは延べ8つ(日本は延べ19クラブで優勝0、韓国は21クラブで優勝3回)にすぎず、そのうち4回が広州恒大で、優勝とベスト8がともに2回あるが、他はすべてラウンド16(決勝トーナメント1回戦)で敗退している。今季も広州恒大は優勝候補の筆頭といってよいだろうが、他の3クラブも補強に力を入れ、あなどることのできない存在だ。

スタートダッシュもくろむ日本勢

さて日本勢は、力のあるチームがそろった。連続出場は浦和(出場5回目)とG大阪(7回目)だが、昨年の大会ではいずれも出足でつまずき、苦しんだ。浦和は「グループ最下位」という悔しさをバネに、そしてG大阪は準決勝まで進んだ経験を力に、今季はスタートダッシュを狙っている。浦和はスロベニア代表DFイリッチとU-23(23歳以下)日本代表主将のMF遠藤、G大阪は昨年横浜Mで活躍したFWアデミウソンを補強し、いずれもチーム力を上げている。

キャンプでミニゲームを行うアデミウソン(中央)らG大阪の選手たち=共同

初戦の相手は、浦和が2月24日のシドニーFC(オーストラリア、ホーム)、G大阪が同日の水原三星(韓国、アウェー)だ。

2年ぶり4回目の出場となる広島は、総力戦で3位の座をつかんだ昨年のクラブワールドカップの経験が大きな力となるだろう。3位決定戦で広州恒大に競り勝ったことも大きい。昨年のJリーグで21得点を記録したFWドウグラスがアラブ首長国連邦(UAE)のクラブに移籍したのは痛手だが、清水からFWウタカ、京都からMF宮吉を補強し、急成長中のFW浅野を含め、攻撃陣はパワーアップしている。

そして出場4チームのなかで唯一監督が交代したFC東京は、その城福浩監督が唱えるアグレッシブなサッカーが早くも浸透。韓国代表MF河大成、MF水沼、FW阿部、DF駒野、そしてGK秋元らの新戦力も溶け込んで破壊力を増している。

日本のクラブに何とかアジアを制覇してほしいと、日本サッカー協会とJリーグは物心両面で非常に大きなサポートを実施している。その期待に応え、出場全4クラブがグループステージを突破し、8年ぶりのアジアチャンピオンの座を日本にもたらしてほしいものだ。

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