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グーグル「無料送迎タクシー特許」に透ける野望

日経テクノロジーオンライン
米Google(グーグル)のほか、スマートフォン(スマホ)を使ったハイヤー配車サービスを世界に広げる米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)も開発に力を入れる自動運転技術。IT(情報技術)大手の彼らはどんな未来を見通し、何を目指してこの分野に力を注いでいるのか。新規参入企業の野望を読み解く。
Googleの特許資料に記されたeクーポンのイメージ。US8630897 B1、「Transportation-aware physical advertising conversions」より。出願日は2011年1月11日

自動運転車の登場は、単に安全性の向上、交通渋滞の削減、運転の負荷低減といった、現在のクルマの機能延長線上にあるものではない。既存の自動車産業の基盤を根底から覆すものだと認識しておくべきだろう。だからこそ、GoogleやUberといった、ITに基盤を持つ企業が相次いで参入してきているのだ。

Googleの真の狙いは何か。企業・研究機関の自動運転への取り組みを調査するEYアドバイザリーは、自動運転車自体を利用したサービスでGoogleが注力しているのは「無料送迎タクシー」であると推測する。

これは、Googleのオンライン広告を見て実店舗へ向かう顧客に対して、無料もしくはディスカウント料金の自動運転タクシーの送迎サービスを提供するものだ。

広告を見たユーザーに対してタクシー料金を割り引くこのサービスに関して、Googleは2014年1月に米国の特許庁から特許を既に取得しており、自動運転車プロジェクトメンバーがその申請者であったとされる。

特許資料にはeクーポンの画像イメージが掲載されている。スマホに表示された「ランチを注文したお客様は前菜50%引き」というeクーポンの下に、「無料送迎タクシーサービスあり」と書かれている。ユーザーがその下にある「GET ME THERE!」と書いてあるボタンをクリックすると、Googleのタクシーがユーザーのところまで出向いてレストランまで送り届けるという仕組みだ。

Googleが開発中の自動運転車(写真:Google)

無人タクシーで利用料金6分の1以下に

無人ではないが、既にスマホを利用したオンデマンドの配車サービスを展開しているのがUberだ。同社はサンフランシスコに本社を置くベンチャー企業で、2009年の創業からわずか6年強で、68カ国360都市以上に進出し、全世界で約110万人以上のドライバーが登録している。現在の株式時価価値は、上場前にもかかわらず、約7兆~8兆円とされる。

Uberは、現在のビジネスモデルにとどまるつもりはなく、2015年に自動運転研究で有名な米カーネギーメロン大学との共同研究を目的に「Uber Advanced Technology Center」を設置。自動運転車の開発に本腰を入れ始めた。

将来的には、ドライバーが不要な自動運転車を同社の配車サービスに活用し、コストを大幅に引き下げるのが狙いだ。米コロンビア大学の試算によると、わずか9000台の自動運転車でニューヨークのすべてのタクシーを代替することが可能であり、ユーザーの利用料金を0.5米ドル/マイルに下げられるという。

現在Uberで最も安価なサービス「Uber X」でも、1マイル当たりの料金は3.00~3.50米ドル。つまり、自動運転車の活用により、サービス価格を7分の1から6分の1に引き下げられる可能性があるのだ。

ここまで利用料金が引き下がれば、クルマを所有するよりも単位走行距離当たりのコストは低くなる。Googleによる「広告モデルの無料送迎タクシーサービス」と相まって、消費者がクルマを所有する必要性が大幅に薄れ、多くの消費者が自動運転タクシーを利用するようになる可能性が高い。

車両の販売を主な売り上げとする現在の自動車産業は、大きな転換を迫られることになるだろう。

(オートインサイト 鶴原吉郎)

[日経テクノロジーオンライン2015年12月18日付の記事を再構成]

[参考]日経BP社は2015年12月14日、世界の自動車メーカー、大手サプライヤー、そしてIT業界まで巻き込んで開発が進む自動運転技術の予測レポート『自動運転の未来2016-2020』を発行した。各プレーヤーはどんな開発に取り組んでいるのか、普及はどのように進むのか、技術的な課題は何か、そして自動運転技術は社会や産業をどう変えていくのか、などについて総合的にまとめた。詳細は、http://nkbp.jp/1R7tRjZ

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