ヤクルト小川、「ライアン投法」改良で沢村賞狙う
スポーツライター 浜田昭八

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2016/2/14 6:30
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元横浜(現DeNA)のストッパー佐々木主浩の「大魔神」、パ・リーグのホームラン王争いの常連、西武・中村剛也の「おかわり」など、球界にはユニークなニックネームで呼ばれる個性派がいる。そのほとんどは、長い間に積み上げた実績から生まれたものだ。ところが、新人時代からニックネームで親しまれ、3年間でそれがおなじみになった珍しい例もある。

新しいフォームで「力のロスを少なくし、200イニングは投げたい」と小川=共同

新しいフォームで「力のロスを少なくし、200イニングは投げたい」と小川=共同

ヤクルトの主力投手、小川泰弘の「ライアン」である。2013年にヤクルト入りしたときから、左足の膝をアゴにぶつけるほど高く上げる投球フォームだった。それが米大リーグの300勝投手ノーラン・ライアン(レンジャーズなど)のフォームに似ていると評判になった。本人が活躍しなければ、奇をてらったフォームで片付けられただろう。だが、3年間で36勝18敗の好成績を挙げ、「ライアン小川」の名はすっかり定着した。

体全体強化、小柄でも切れのいい球に

その看板のフォームに小川は今、手を加えている。左足の上げ方を少し低くして、余分な力を入れないようにしている。本家ライアンは身長188センチの大男。これに対して小川は投手としては小柄な171センチ。球威を増すため体全体を使おうと、少し無理をした「ライアン投法」だった。エネルギーの消費は当然大きく、コントロールを乱すこともある。

昨年までのヤクルト投手陣には、優秀な救援投手が顔をそろえていた。ところが、昨年限りでストッパーのバーネットと、中継ぎのロマンが退団した。今季の救援陣の形が決まっていないので、先発陣はできるだけ長いイニングを投げなければならない。小川は「力のロスを少なくして、200イニングは投げたい」と、先発ローテーションの柱としての気概を示している。

力のロスを少なくとはいえ、技巧派投手に転向する気は全くない。セ・パ交流戦や日本シリーズで接したパの若手投手の力の投球に触発され、小柄でも体全体を強化すれば切れのいい球が投げられると、筋力アップに努めた。オフの自主トレを一緒に行った元巨人の上原浩治も土台からの鍛え直しに賛同してくれた。ボールを散らすのではなく、ストライクでどんどん勝負するための土台づくりとフォーム改造計画は着々と進んでいる。

プロでのスタートは順調だった。開幕1軍という目標をクリアして、いきなり3連勝。同僚が苦しんだセ・パ交流戦でも3勝をマークした。珍しいライアン投法で幻惑するという投球内容でなく、勝負度胸満点の強気の投球で立ち向かった。結果は16勝で最多勝。4敗しかしなかったので、8割で勝率1位のタイトルも合わせて取った。そして夢にまで見た新人王。前途洋々の13年だった。

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