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曽和利光の就活相談室 面接官は「動作」を見ている キーワードは太極拳

人材研究所 曽和利光

 リクルート、ライフネット生命などの人事責任者として20年以上、累計で2万人を超える就活生を面接してきた「プロ人事」、曽和利光さん。「学生は、根拠のない思い込みで失敗している」という曽和さんが、面接官の本音を語ります。第1回は「人の見た目は、何割?」です。

見られているのは服装ではない

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

ワイシャツの色は白で決まりなのか、スーツは濃紺や黒でないと目立つのか……。学生のなかには靴下の柄から女性なら爪の色など、細かなところまで、気になる人もいるでしょう。「服装で落ちる」。この疑問はいつもつきまといます。しかし、アパレル企業の面接などを除き、服装で減点になるケースはほとんどありません。

それよりも、面接の場面、特に1次、2次面接などの初期段階で合否に大きな影響を与えるのは一般的に「非言語コミュニケーション」といわれるもの。具体的には、「声」「目線」「体の動き」この3つです。

1つ目は「声」、話すスピードや声の大きさです。たいていの学生は早口です。覚えてきたことを早くいわなければと焦るからだと思いますが、面接官も聖徳太子ではないので情報処理能力が高い人ばかりではありません。理解してもらうためにはゆっくり話すべきです。緊張で早口になるのは仕方ないので、人事は相手がとても大きな声で話してきたらわざと小さな声で、早口ならあえてゆっくり話すなど、会話のペースを整えます。面接官がゆっくり話すと、多くの人はゆっくり話し始めてくれます。

ところが、たまに自分のペースを変えられない人がいます。これが問題です。相手の反応にあわせられず、いいたいことを一方的にいうタイプなのかな、と面接官は判断します。落ち着きのない、エキセントリックな印象も与えます。

百歩譲って、面接官が早口を理解できたとしましょう。今度は自分の首を絞める危険が出てきます。面接官が「この人頭の回転速いんだ、ペースを早くしよう」と切り替えて矢継ぎ早に質問し、学生が考える時間が減ってしまうのです。人事としては会話のペースが早ければより学生から得られる情報も増えるので、ついていければそちらのほうがよいのです。くれぐれも早口で墓穴を掘らないように。

2つ目は、「目がキョロキョロしている」「目線が定まらない」。これだけで落とされるケースがあります。人事はこの様子から「ストレス耐性が低いのでは」「人とのコミュニケーションが怖いのだろうか」もしくは「自分を面接の場だからと『盛って』よく見せようとしているのでは」と疑うからです。

3つ目は、「動きがガサガサしていないか」。例をあげると、ずっとネクタイを触ったり、手がせわしなく動いていたり。意識から抜けてしまいがちなのは、下半身。上半身がじっとしていても、足がぶらぶらしている人がいます。

サービス業の面接などで多いものですが、椅子がぽつんとおかれて、面接官は脚の隠れるテーブルの前に座っている。それは、全身の様子を見たいからです。立ち居振る舞いや落ち着きを見ているのです。

初期面接ほど印象が勝負

ここまで話したように、印象が面接の評価に与える影響はバカにできません。多くはありませんが、面接官に向けた印象に関する面接官に向けたチェックリストを作っている会社もあります。

しかし、大半の場合、明文化されていないから危険なのです。チェック項目があれば、面接官も印象だけの判断をしないように意識して制御します。また、スキルの高い面接官なら「この人が今落ち着きがないのは、緊張しすぎているからだな」と考えます。一方、日ごろは学生と接触しない現場の社員だと、「よくわからないが落ち着きのない学生だ。ミスしやすいかもしれない」と考えます。

面接の極意は「ゆっくり」
1.ゆっくり話す。声は低い
  ほうがのぞましい。
2.相手の目を見て話す。
  目線が定まらないと減点に。
3.動作もゆっくり。
  イメージは太極拳。

私が学生に面接で一つだけアドバイスするとすれば「とにかくゆっくり」。これに尽きます。「こんなにゆっくり話をしてもいいの」と思うくらいゆっくり話したほうがいい。そうすれば自分の考える時間も得られるし、落ち着いた人にも見られるし、いいことずくめです。

動作は「太極拳のように動く」。座るとき、立ち上がるとき、礼をするとき、ゆっくり動いていると、自然と落ち着いてきます。早く動いて、そばにあるお茶をこぼしたり、いすが倒れてパニックになって……、などとなれば、悪気はないのに印象は悪くなります。「あいつは頼りなさそうだしケアレスミスしそうだな」と判断されます。

「人は見た目が9割」とまではいいませんが、初期面接を担当するような慣れていない社員ほど、印象で合否を決めやすい傾向にあります。じっくり1時間話せれば、内容と関係のない「話し方」「動作」などだけで判断されず挽回できます。しかし、初期のグループ面接などでは、面接官1人に対し学生4人で1時間、持ち時間は1人15分、というような短時間勝負ではきわめて挽回が難しくなります。

面接が始まると必ず「なぜか1次面接で落ちてしまう…」という声が聞こえてきます。今日あげたような、内容ではなく印象が原因のケースは少なくありません。内容と関係のない「癖」に近いものに気づくためにも、大人に模擬面接などを見てもらってフィードバックを受けましょう。

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