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世界トップも実践 ダウンブローは左肩で打つ(下)

 ボールを打ってから、ボールの先のターフを取る。そんなダウンブローショットはどうすれば打てるのか? ジュニアの頃から米国でゴルフを学び、南フロリダ大学ゴルフ部で活躍した吉本巧プロが、世界のトッププロが行っている最新理論でダウンブローショットの打ち方を教えてくれた。誰もが自然にうまく打ててしまう左肩リードの最終回。インパクトでの手首の角度の重要性について語る。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.29」から)

プロや上級者のインパクトでの共通点の2つ目、アドレスのときより、右手首の角度が小さくなり、左手首の角度は大きくなるということを学びましょう。

インパクトで右手首の角度がアドレスのときより小さければダウンブローにヒットしている

なぜそうなっているかということですが、インパクトで右手首の角度がアドレスのときより小さければ、ハンドファーストでボールを打っていることになります。つまりダウンブローにヒットしています。

しかし、右手首の角度が大きくなっていたら、手首が返ってしまっていて、ヘッドファーストになっているということになります。つまりはすくい打ちになってしまうのです。

ではどうすれば、インパクトで右手首の角度を小さくすることができるのでしょうか? それはトップでできた右手首の角度を保ってインパクトするということです。

インパクトまでコックをためて

トップから左肩を左斜め前に動かすと右肘が下に落ち、右脇が締まる

アドレスのとき、右手首は緩く角度がついています。バックスイングしながら、トップに向かって、右肘が曲がってコックが行われ、右手首の角度が自然に鋭角になっていきます。

このトップからいきなり手を下ろしてしまうと、右肘が伸びてしまい、コックも解けて、右手首の角度も大きくなってしまいます。そこで、インパクトまでなるべくコックをためて、右手首の角度を小さく保ちたいわけですが、それには、トップからすぐに手を下ろさない。つまり、左肩の左斜め前への動きからスタートすればよいというわけです。

トップから、左肩を左斜め前に動かすと、トップでの右肘が下に落ちて、右脇が締まり、ダウンスイングで右肘が早く伸びてしまうことを防ぎます。これにともない、コックも解けず、右手首の角度もトップでの小ささのまま、手元が左に動き、ハンドファーストでインパクトすることができるのです。

ボールを打たずにトップからの動きをゆっくりと行ってみてください。トップから左肩を左斜め前に動かして、右肘を下に落とす。左肩が左足の真上に来ると、左腰と左膝は肩の真下にあります。この動きと同時に、右肘を曲げたまま、コックを解かず、右手首の角度を小さく保ったまま、手元をボールの先まで持っていきます。このハンドファーストのまま右手首の角度を変えずにインパクトの形を作る。

トップからインパクトまでの動きを、ゆっくりと繰り返し行ってみてください。

インパクトでは右手首の角度を小さく保ったままハンドファーストにする。このときに左腕が伸び、右肘が曲がっていたら、グリップは自然にアドレスのときよりも高い位置にあると思います。これが正しいインパクトの形です。

このとき、ヘッドがボールに当たっているわけですが、ぺったりとソール全体が地面に触れていることが重要です。なぜなら、そうなっていないとしっかりとフェースの芯でボールをとらえることができないからです。

もしもヘッドのトウ部分だけが地面に触れているとしたら、それはアイアンのライ角があなたのスイングに合っていないということになります。

フォローで肩が左に回っている上に、腕を返してしまうとフックなどミスが生まれる

正しいインパクトはグリップ位置がアドレスのときよりも高くなると言いました。つまり、アドレスしたときにアイアンのソールがぺったりと地面についていたとしたら、インパクトではグリップ位置が高くなるので、トウだけが地面に触れてしまうことになります。

従って、アドレスしたときに、クラブヘッドのトウは地面から離れている状態が正しいライ角です。トウがどれくらい上がっているかといえば、7番アイアンの場合で、地面に対して5度~15度です。私の場合で12度ですが、人それぞれですので、インパクトの形を作ってソールがべったりと地面に触れるライ角を自分で探してみて、ライ角を合わせてほしいと思います。

腕を返すとフックなどの原因に

右手の甲を上に向け、左手の甲を下に向けるとフェースがかぶってしまうのがわかる

そうしないと、トウ部分でボールをヒットすることになるので、いくら良いスイングをしてもクラブの芯でとらえたダウンブローで打つことはできません。とても重要なことなので、ぜひチェックしてください。

インパクトで左腕を伸ばし、右肘を曲げると、左腕のほうが右腕よりも高くなります。そのままインパクトしたら右肘を伸ばすので、スイングの最下点がボールの先となってダウンブローに打てるわけです。

その後、フォローとなるわけですが、肩が左に回っていくので、それに加えて腕を返すアームローテーションをすると、フェースが左に向いてしまい、フックや引っかけになってしまいます。左腕よりも右腕が高くなってしまうわけです。

このことは体の前で手を返してみればわかります。クラブを真っすぐ前に出して右手の甲を上に向け、左手の甲を下に向ける。すると、フェースがかぶるだけでなく、ヘッドが左を向いてしまいます。

では、どうするかというと、腕や手を返すことなく、手首だけをひねります。左腕が右腕よりも高い位置のまま、手首だけが回転するので、ボールを包み込むようにヒットでき、ボールがほどよくつかまります。

このまま左肩を後方に引いていくように回転します。左足の真後ろに左肩を回していくわけです。インサイドに引いていく感じです。こうするからこそ、トップから左肩を左斜め前に動かしているのに、インパクトでは両肩が飛球線と平行になるわけです。なので、自分ではインサイドに回しているつもりでも、ボールをしっかりとつかまえてダウンブローに打て、飛球線に飛ばせるというわけです。

左肩を後方に引いていくようにフォロースルーしていけば、そのまま左足に体重の乗ったフィニッシュとなります。インパクトでは左足の母指球に乗った体重が左足かかとに移動していきます。

左腕を伸ばし、右肘を曲げて、左腕が右腕より高いインパクトの形を作ります。グリップはアドレスより高い位置にあり、ハンドファーストになっている。体重は左足に乗っていて、頭はボールの後ろ。少し窮屈な体勢と思いますが、そうしたインパクトの体勢を作って、素振りをしたり、ボールを打ってみたりします。こうすると、自然に元のインパクトの形に戻りますので、良い形のインパクトが作れます。ぜひやってみてください。

最後にダウンブローの練習法を学びましょう。

ダウンブローの練習は、しっかりターフが取れることを考えると、8番や9番アイアンといったショートアイアンで練習するのがよいと思います。6番や7番アイアンなどのミドルアイアンではターフが取りにくいので。

8番や9番アイアンといったショートアイアンはシャフトが短いのでボールをヒットしやすく、ダウンブローに打ちやすいクラブです。シャフトのしなり返しも少ないため、すくい打ちにもなりにくい。

ダウンブローに打てているかどうかを確かめるには、ソール全体をマジックで塗って練習するのがお勧め

とはいえ、アマチュアの皆さんは普段、芝生の上で練習することは難しいでしょうし、練習場のマットで打つことが多いと思います。マットではダフってもソールが滑ってくれるのでダウンブローに打てなくてもナイスショットになってしまいます。なので、ダウンブローに打っているのかどうかがよくわからないということにもなります。こうしたことが、いつまでたってもダウンブローに打つことができない原因でもあります。

ソール全体を黒く塗って練習を

そこで、9番アイアンで練習するとして、ソール全体をマジックで黒く塗ることを勧めています。ソール全体を黒く塗って打ち、リーディングエッジ側の半分のマジックだけが削り取られていれば、ダウンブローに打てているということになります。

すくい打ちのアッパーブローで打てば、その反対側のトレーリングエッジ側が削られていたり、ソール全体のマジックが削られて消えていたりします。

また、自分のスイングを動画に撮って見るのもいいことです。正面から撮影したら、トップから左肩が左へスライドしているか、ダウンスイングでは右肘が落ちて右肩と右手の距離が同じであるか、インパクトで左肩、左腰、左膝、左足が一直線になっているか。グリップが左に動いてハンドファーストになっているか、右手首の角度が小さいままかなどをチェックしてみましょう。

また、飛球線後方から撮影したとしたら、トップが低めの位置にあるか、インサイドからダウンスイングしているか、右肘がすぐに伸びずに曲がったままキープできているか、インパクトではアドレスのときよりもグリップ位置が高くなっているか、右肘が左腕よりも低い位置にあるかなどをチェックしてみてください。

こうした練習はゆっくりと自分のスイングを確かめながら行うようにしましょう。特にインパクトの形にこだわってみてください。それらを繰り返すうちにしっかりとしたダウンブローのスイングが身につくはずです。

(文:本條強 写真:大森大祐 協力:越生ゴルフクラブ)

 よしもと・たくみ 1980年8月27日、兵庫県生まれ。14歳のときに米国に渡り、ゴルフアカデミーでゴルフを一から覚える。すぐに上達し、ジュニア日本代表やフロリダ代表に選ばれる。南フロリダ大学のゴルフ部に特待生として在籍、活躍後、ミニツアーで3勝を挙げる。現在は99ゴルフスクールを主宰してアマチュアへの指導をする傍ら、テレビ・雑誌などのメディアでも活躍。

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