/

長期金利が最低更新 0.190%、リスク回避強まる

過去最低を更新した長期金利(14日午後、東京都中央区)

金融市場で投資リスクを避ける「質への逃避」が加速している。14日の東京市場では日経平均株価が前日終値に比べ700円強下がって一時1万7000円を割り込むなど大幅に反落する一方、安全資産とされる債券を買う動きが強まり、日本の長期金利は過去最低の0.190%まで低下した。原油安や中国経済の減速など先行きへの懸念も投資家のリスク回避を促している。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時、前日比0.015%低い(債券価格は高い)0.190%を付けた。これまで過去最低だった昨年1月20日の0.195%を約1年ぶりに下回った。

長期金利が0.2%を下回るのは、世界的に見ても歴史的に見ても異例の状況だ。20世紀の終盤まで長年にわたって世界史上最低とされてきたのは1619年イタリア・ジェノバで記録した1.125%だった。日本の長期金利は1990年代後半にこの水準を突破し、歴史上類を見ない低金利時代に突入した。

ここへ来て金利が低下している米国は2%台、ドイツは0.5%台で、欧米と比べても日本の低金利は際立っている。主要国で日本より金利が低いのは長期金利もマイナスに落ち込んでいるスイスだけだ。

歴史的な金利低下の背景には、大量の国債を買い続ける日銀の影響もある。日銀は量的・質的金融緩和(異次元緩和)で年80兆円ずつ国債を買い増しており、償還で消える保有分の穴埋めを含めると、年間購入額は120兆円にもなる。政府の発行額(借換債を含む)の大半を日銀が買い占めている格好だ。

ただでさえ需給が逼迫しているなか、世界的な株安や原油安などによるリスク回避の債券買いが加わり、金利低下に拍車がかかったというのが実態だ。資源価格の低下で日銀が目指す物価2%の達成が難しくなり、追加緩和観測が広がりつつあることも、金利を下げやすくしている。

長期金利が下がれば、住宅ローンや企業向け融資の金利も連動して下がりやすくなる。投資や消費の拡大で経済を刺激する効果が高まる。さらに低い金利は国の利払い費を減らし、財政再建を進めやすくする。

ただ、市場では「下がりすぎた金利がやがて急反発する」(UBS証券の井川雄亮氏)との警戒が強まっている。2003年の「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」と呼ばれる金利急騰や、13年の異次元緩和導入直後の大幅な金利上昇は、いずれも金利が過去最低水準まで下がった後に起きた。15年1月に過去最低の0.195%を付けた後も、長期金利は短期間で0.5%台まで跳ねている。

金利が大きく上昇すれば、国債を多く保有する地方銀行や生命保険会社などに損失が広がりかねない。変動金利型の住宅ローンを抱える家計への影響も無視できない。政府・日銀は金利が急変動するリスクが高まっていないか、市場からの情報収集などを強化する。

(佐伯遼)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン