「ムース食」を使った日本初の飲食店が銀座にオープン
日本初の「ムース食」を使った飲食店「ニューディッシュ ムース デリ&カフェ」が2015年12月17日、東京・銀座にオープンした。
一般的にムースというと、デザートか前菜のイメージが強い。しかし、同店で使用されるのは、病院や介護福祉施設向け給食を提供する日清医療食品が開発した、かんだり飲み込んだりすることが困難な人向けの介護食。このカフェは同社のアンテナショップという位置づけだ。


「かんだり飲み込んだりすることが困難な方々の食といえば、ミキサーで撹拌(かくはん)したものや刻み食が中心だった。撹拌したり刻んだりすると量が増えてしまい、特に少食の高齢者の方などは必要な栄養素を摂取しにくくなる。そこで少量でも必要量が摂取しやすいムース食を開発した」と語るのは、同社の山田英男常務。今回のアンテナショップではムース食の訴求とともに、食べた人の声などを集め、新しいムース食の開発につなげるのが狙いだという。


"予約のとれないレストラン"オーナーシェフが監修
同カフェではこのムース食をそのままの状態ではなく、ソースやサラダ、ひき肉に混ぜるなどして素材として提供する。
例えば、「冷菜のタコのタブレ(クスクスを使ったサラダ)」には黄ピーマンムースと赤ピーマンムース、トマトのゼリーを砕いて和えてあり、「鶏もも肉の香草パン粉焼き」に添えられたグリーンソースには小松菜と青エンドウのムース食が使用されている、といった具合だ。


料理を監修したのは、予約のとれないレストランとして知られる「レストランOGINO」のオーナーシェフ・荻野伸也氏。入院したときに病院食に興味を持ったのがきっかけだという。
素材の味と香りがしっかり味わえる
実際に食べてみると、見た目ではムース食の存在は分からないが、食べるとそれぞれの素材の味と香りがしっかりと味わえる。見た目はシンプルでも、味が濃厚で深みのあるおいしさなのだ。ムース食には素材の味や栄養素が濃縮されているので、塩などの調味料をあまり使わなくてもしっかりした味があるという利点もあるという。
ただアンテナショップというわりには、ムース食はあくまでメニューの一部に使われているだけなので、存在感がやや薄い印象。しかも、ムース食を使ったメニューの提供はランチのみ。今後はムース食を取り入れたメニューを増やし、食に関するセミナーなども開催する予定だという。



(ライター 永浜敬子)
[日経トレンディネット 2015年12月24日付の記事を再構成]
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